成長を支えるカギ!中小企業の成功に欠かせない人事評価制度とは?
こんにちは。
バックオフィスの効率化編集部です。
今回は、中小企業における人事評価制度の導入について解説します。
「人事評価制度って本当に必要なの?」「導入したいけど手順が分からない」「導入してみたけど上手く運用できているか不安」と疑問や不安を感じている方は多いのではないでしょうか。
適切な人事評価の実施は、従業員の働くモチベーションアップに大きく繋がります。
この記事では、人事評価制度がなぜ必要なのかについて理解し、導入するメリットや具体的な方法を学ぶことができます。さらに、実際に人事評価制度を導入する際の手順やポイント、注意点についても詳しく解説します。
本記事を最後まで読んでいただくことで、人事評価制度を導入して、組織の成長や従業員のモチベーション向上に活かすことができるでしょう。
人事評価制度とは
人事評価制度とは、組織や企業において従業員の業績や能力を評価するための仕組みのことです。従業員の評価を客観的な基準に基づいて行い、その結果を元に報酬や昇進、配置などの人事決定を行います。組織全体のパフォーマンス向上や従業員のモチベーション向上に寄与する重要な制度です。
企業や従業員本人が定めた目標設定に対して、どのようなアクションを行い結果を残し、企業に対して貢献したのかを明確化した上で、昇格や昇給といった報酬に反映をしていきます。
従業員の成果や能力、意欲を正確に判断するために必要な取り組みと言えるでしょう。
中小企業における人事評価制度の実態と導入率
中小企業の人事評価制度の導入・普及率は、高いとは言えないものの、徐々に定着しつつあるように見受けられます。
「中小企業白書2023年」で発表しているデータによると、
「人事評価制度の明確化」、「報酬制度の明確化」は5割以上の企業が「十分実施している」、「ある程度実施している」と回答していることが分かる。
2023年版「中小企業白書」
というデータが発表されています。
また、2022年版の中小企業白書では、従業員数が少人数になればなるほど、人事評価制度の導入が進んでいないことが取り上げられています。
100人以上の規模の中小企業であれば、ある程度普及していると言えますが、少人数の企業での定着率は低い状況にあります。
導入が進まない理由としては、リソースの制約や経営資源の不足が挙げられます。中小企業は大企業に比べて、人事部門や予算が限られており、人事評価制度の導入に必要な体制を整えることが難しい場合があります。
しかし、人材の育成や定着の重要性が認識されつつある中で、中小企業も従業員のモチベーション向上やパフォーマンス向上を図るために、人事評価制度を導入を検討する動きが広がっています。
中小企業が人事評価制度を導入することで、従業員のモチベーション向上や組織の成果向上につながるというメリットを享受できることが期待されます。
人事評価制度が必要な理由
人事評価制度が必要な理由は大きく分けて3つあります。
1.従業員のモチベーションアップにつながる
一番大きなポイントとしては、従業員のモチベーションアップに繋がることです。ひいては離職率の低下にも効果があると考えられます。
人事評価制度が明確化されていない場合、従業員は何をもって評価されているのか不安に感じてしまいます。また、評価軸が曖昧なために何を目指せば良いのか理解できておらず、仕事をがんばるモチベーションが徐々に低下してしまう恐れがあります。
評価制度を明確に定めておくことで、上記のような状態を回避することができます。
2.適材適所の配置ができて生産性向上になる
従業員の向き不向きを理解して最大限に能力を生かせるようになるのが2つ目のポイントです。
正しく評価をできていないと、従業員が現在の仕事内容できちんと組織に貢献できているのかが不明瞭になってしまいます。
評価基準を明確にしておくことで、正しく従業員の働きぶりを評価することができて、何が向いていて何が向いていないのかを正確に判断できるようになります。
その結果、職種チェンジも視野に入れた適材適所への意思決定がしやすくなり、各々が自分に合った仕事内容に従事できるため、会社全体の生産性向上を大きく期待できます。
3.企業の方針が従業員に浸透しやすくなる
3つ目のポイントとしては、企業の方針が従業員に浸透しやすくなるという点です。
どのような基準で評価されるのかが明確になっていると、従業員からしても自社が重要視している要素を理解しやすくなります。
人事評価制度の導入で解決される課題
先程の章と重なる部分もありますが、人事評価に関連する課題として下記の項目がよく挙げられます。
- 従業員のモチベーション低下
- 人手不足
- 従業員間の関係性悪化
- 離職率の上昇
人事評価制度を取り入れて明確な評価基準を設けておくことで、上記の課題をクリアすることができ、従業員と組織の両方にとってプラスの効果をもたらしてくれます。
中小企業が人事評価制度を導入する目安
中小企業が人事評価制度を取り入れるべきタイミングはいつでしょうか。
目安として、下記3つが挙げられます。
新規採用が増加するとき
新たに多くの新入社員が組織に加わる際に、人事評価制度の導入を検討するのが適しています。新規採用者は組織の文化や評価制度に慣れていないことが多く、初期の段階で評価基準を明確にしておくことで、彼らが期待に応えやすくなります。さらに、新入社員のモチベーションを高めるためにも、成果に応じた報酬やキャリアパスを示すことが重要です。
社員数が増加するとき
企業や組織が成長するにつれて、社員数が増加することは一般的なことです。社員数が増えると、個々の従業員とのコミュニケーションが希薄になる他、組織内の業務や人材管理が複雑化し、個々の従業員の評価や報酬の管理が難しくなることがあります。このようなタイミングも人事評価制度の導入が必要と言えるでしょう。
組織の働き方改革を推進する時
近年では、働き方改革が重要なテーマとなっています。働き方改革は、従業員のワークライフバランスの向上を目指す重要な要素です。人事評価制度の導入によって、働く時間ではなく成果を重視する評価基準が導入されることで、従業員は成果を上げることに注力し、効率的に働くことが促進されます。結果として、過重労働や残業時間の削減が実現し、従業員のストレス軽減やワークライフバランスの改善に繋がります。
人事評価制度の2つの運用方法
紙やExcelの評価シートを使用する方法と、人事評価システムの導入を検討する方法の両方があります。どちらを選択するかは、企業の規模、予算、ニーズ、業務の複雑性などによって異なります。
メリット
導入が容易でコストが低く、特定の機能に依存せず自由なカスタマイズが可能、簡単な評価プロセスに適している。
デメリット
手作業による入力や集計が必要、評価データの管理や共有が手間になる、大規模な組織や複雑な評価プロセスには向かない。
メリット
評価プロセスの自動化や効率化、評価データの一元管理が可能、詳細な分析やレポートが簡単に行える、大規模な組織や複雑な評価プロセスに適している。
デメリット
導入には初期費用や運用費用がかかる、カスタマイズが限られる場合がある、従業員のトレーニングやシステムの導入期間が必要。
どちらの方法を選択するかは、中小企業の組織のニーズや予算、業務の複雑性によって異なります。少人数の組織やシンプルな評価プロセスであれば、紙やExcelの評価シートでも十分対応できます。一方で、大規模な組織や複雑な評価プロセスを行う場合は、人事評価システムの導入が効果的かもしれません。
導入を検討する場合は、各方法のメリットとデメリットをよく理解し、具体的なニーズに合わせて選択することが重要です。
人事評価制度の具体的な作成手順とポイント
人事評価制度を定める際の具体的な方法は下記です。
- 目的・目標を明確化する
- 評価基準を決める
- 評価手法を決める
- 評価を行い、基準の見直しを行っていく
目的・目標を明確化する
まず入り口となるのが、人事評価制度を定めることの目的を決めておくことです。
中小企業は特に人手に余裕があるわけではありませんので、無駄な取り組みをしている暇はありません。
そのため、どんなことを達成するために評価制度を設定するのかを決めてから、実際の評価内容の設定に進んでいきましょう。
評価基準を決める
評価基準を決める際には、下記3つの要素で決めると良いでしょう。
- 業績基準:成果や達成率に対する評価
- 能力基準:スキルやポテンシャルに対する評価
- 意欲基準:行動や意欲に対する評価
評価手法を決める
評価手法については、基本的に下記いずれかの手法を採用する企業がほとんどです。
MBO(目標管理制度)
従業員の業績や目標の達成度を定量的な数値や指標で測定し、目標達成度を評価する方法です。例えば、売上目標の達成率、プロジェクトの完了率、品質向上の効果などが評価対象となります。
360度評価
従業員の評価を上司だけでなく、同僚、部下といった複数の関係者から収集する方法です。360度評価は多面的な視点から従業員を評価することができるため、一人からの評価に偏ることはありません。また、社員は個人の強みや改善点をより広範に把握することができます。
コンピテンシー評価
社内で業績の良い社員をモデルとし、行動特性を分析したのちそれを基準として評価を行う方法です。モデル社員と同じような態度や行動が高く評価されます。
評価を行い、基準の見直しを行っていく
実際に評価基準を定めて運用を開始した後は、定期的に見直しを行っていくことが重要です。
公平な評価基準になっているか、従業員から不満は出ていないか?など、押さえておくべきポイントはいくつかありますので、定期的な見直しが必要と言えるでしょう。
失敗をさけるための人事評価制度の運用ポイント
評価スキルを高める
評価者が人事評価の判断基準をあまり理解していない場合、いくら評価制度を作成しても公平な評価ができません。各社員のイメージだけで評価してしまうなんてことは少なくありません。公平性を保つためにも、人事評価制度を導入する際は、評価者への研修を行う必要があります。
フィードバックを必ず行う
人事評価制度を導入しても、評価することが目的になっては本来の目的である離職率の低下や業務の生産性向上は達成できません。評価を行ったら、評価結果や今後の課題・取り組みの方針などを面談で各社員に伝えましょう。
まとめ
今回は中小企業の人事評価制度導入について解説しました。
継続的に会社を発展させていくために、従業員のモチベーションアップや離職防止は避けては通れない取り組み事項です。
これまで明確な人事評価制度を設けていなかった企業にとっては、導入のハードルが高く感じてしまうかも知れませんが、中長期的な視点で見た場合、企業にとっては大きくプラスになる施策となりますので、ぜひ前向きに導入検討されてみてはいかがでしょうか。
本記事が少しでも人事評価制度の取り入れのお役に立てれば幸いです。