未経験から経理へ転職は可能?仕事内容・資格・志望動機まで徹底解説 - 管理のミカタ

未経験から経理へ転職は可能?仕事内容・資格・志望動機まで徹底解説

未経験から経理へ転職は可能?仕事内容・資格・志望動機まで徹底解説
clueCFO

「このままずっと今の仕事を続けていていいのかな…」「将来のことを考えると、何か専門的なスキルを身につけて、自信を持って働きたい」

そんな想いから、「経理」という安定した専門職に興味を持ち始めたあなたへ。

いざ一歩を踏み出そうとしても、「簿記も知らない未経験の自分にできるだろうか?」「販売や営業の経験しかないけど、アピールできることなんてあるのかな?」といった不安が次々と湧いてきて、行動に移せずにいるかもしれません。

でも、安心してください。結論から言うと、未経験から経理への転職は十分に可能です。大切なのは、あなたの強みを見つけ、ポイントを押さえて準備を進めること。実際に、異業種から経理に挑戦し、今では専門職として輝いている方はたくさんいます。

この記事では、これまで数多くの未経験者のキャリアチェンジをサポートしてきた専門家の視点から、あなたのそんな不安や疑問を一つひとつ丁寧に解消していきます。

経理のリアルな仕事内容から、本当に必要なスキルと資格、採用担当者の心に響く志望動機の伝え方、そして気になる入社後のキャリアプランまで。この記事を読み終える頃には、漠然としていた「経理への道」がくっきりと見え、自信を持って次の一歩を踏み出せるようになっているはずです。

さあ、あなたの未来のキャリアを描くための第一歩を、ここから一緒に始めましょう。

未経験から経理への転職は可能?知っておきたい3つのポイント

「専門的な知識が必要そう…」「実務経験がないと難しそう…」経理の仕事に対して、そんなイメージをお持ちではないでしょうか。確かに経理は専門職ですが、結論から言うと、未経験からでも経理への転職は十分に可能です。大切なのは、ポイントを押さえて準備を進め、ご自身の強みを正しくアピールすることです。

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未経験だけど、本当に経理になれるのかな…

どの会社にも必要とされる経理部門では、未経験者を採用して自社で育てていきたいと考える企業も少なくありません。特に若手の場合は、これからのポテンシャルや他職種で培った経験が評価されることも多いのです。では、具体的に何から始めればよいのでしょうか。未経験から経理になるために、まず知っておきたい3つの基本ポイントを解説します。

1. そもそも経理の仕事とは?未経験者が担当する業務内容

まず、経理がどのような仕事をする部署なのかを理解しましょう。経理の最も重要な役割は、会社のお金の流れを正確に記録・管理することです。日々の売上から経費の支払いまですべてを数値化し、経営陣が会社の状態を正しく把握するための土台を作ります。

未経験から経理になった場合、いきなり複雑な決算業務を任されることはほとんどありません。多くの場合、日々の基本的な業務からスタートし、会社の事業やお金の流れを少しずつ学んでいきます。

業務のサイクル 主な業務内容
日次業務 現金の出納管理、伝票の起票・整理、経費精算など。未経験者はまずここから担当することが多いです。
月次業務 月次決算、請求・支払業務、給与計算、売掛金・買掛金の管理など。日々の業務の締めくくりです。
年次業務 年次決算、法人税などの税務申告、年末調整、貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)の作成など。1年間の集大成となる重要な業務です。

このように、経理の仕事は日々の積み重ねが月次、そして年次の大きな業務へと繋がっていきます。まずは日次業務を正確にこなすことが、信頼される経理スタッフへの第一歩となります。

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2. 未経験から経理になるために。必須のスキルと有利な資格

未経験から経理を目指す上で、「何か資格は必要?」と疑問に思う方も多いでしょう。実務経験がない分、学習意欲やポテンシャルを客観的に示すために、スキルや資格は非常に有効な武器になります。

簿記3級からでも大丈夫!まずは第一歩を踏み出すことが大切ですよ
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特に、経理の共通言語ともいえる「簿記の知識」と、現代の業務に欠かせない「基本的なPCスキル」は、実質的に必須と考えておくと良いでしょう。

* 日商簿記の資格
簿記は、企業の経済活動を帳簿に記録するためのルールです。未経験者であれば、まずは日商簿記3級の取得を目指しましょう。基本的な商業簿記の知識があることの証明になり、選考の場で熱意を伝えやすくなります。さらに日商簿記2級まで取得していると、より実践的な知識があると評価され、応募できる求人の幅も格段に広がります。

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* PCスキル(特にExcel)
経理業務は会計ソフトがメインですが、データ集計や資料作成などでExcelを使う場面が非常に多くあります。基本的なSUM関数などに加え、VLOOKUP関数やIF関数、ピボットテーブルといった機能を使いこなせると、業務効率化に貢献できる人材として高く評価されます。

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* コミュニケーションスキル
黙々と作業するイメージがあるかもしれませんが、経理は他部署の社員や社外の税理士、金融機関など、多くの人と関わる仕事です。経費精算のルールを説明したり、必要な書類の提出を依頼したりと、円滑な連携が求められるため、コミュニケーションスキルも重要な資質の一つです。

3. 採用担当者はどこを見る?未経験者に求める人物像とは

スキルや資格も大切ですが、実務経験のないポテンシャル採用では、それ以上に「人柄」や「スタンス」が重視される傾向にあります。経理は会社の根幹に関わる重要な情報を扱うため、何よりも信頼できる人物かどうかが問われます。

私の経験上、多くの採用担当者が口を揃えて言うのは、「スキルは入社後に教えられるが、人柄はなかなか変えられない」ということです。では、具体的にどのような人物像が求められるのでしょうか。

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スキル以外でアピールできることって何だろう?

採用の現場では、特に以下のような点が注目されています。

* 誠実さと責任感
会社の機密情報やお金を扱うため、口が堅く、真面目に業務に取り組める誠実さは絶対条件です。万が一ミスが起きた際も、隠さずに報告し、真摯に対応できる責任感が求められます。

* コツコツ取り組む姿勢
経理の仕事は、地道で細かい作業の繰り返しです。日々、正確性を意識しながらコツコツと業務に向き合える力は、非常に重要な素養です。

* 高い学習意欲
会計基準や税法は頻繁に改正されます。一度知識を身につけたら終わりではなく、常に新しい情報をキャッチアップし、学び続ける学習意欲が高い人は、将来の成長を期待されます。

スキルや資格だけでなく、こうした人柄の部分をご自身の言葉でアピールすることが、未経験から経理への転職を成功させる鍵となります。

【事例で学ぶ】未経験から経理へ|評価される志望動機の作り方

未経験から経理への転職活動において、最大の難関ともいえるのが「志望動機」です。スキルや経験をアピールしにくい分、「なぜ経理になりたいのか」「なぜこの会社なのか」そして「自分の経験をどう活かせるのか」という3つの点を、一貫したストーリーで伝えることが何よりも重要になります。採用担当者は、あなたの熱意とポテンシャル、そして会社との相性を見ています。これまでの経験を振り返り、経理の仕事と結びつけてみましょう。

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経理の志望動機はこれで完璧!「なぜこの会社?」の答え方

営業職の経験を活かすアピール術【20代・転職成功事例】

「営業と経理では仕事が全く違う」と思われるかもしれませんが、実は営業経験で培ったスキルは経理の現場でも大いに役立ちます。目標達成に向けた数字への意識や、顧客との折衝で磨かれたコミュニケーション能力は、高く評価されるポータブルスキルです。

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営業の経験って、本当に経理で活かせるのかな?

実際に私がご支援した20代後半の営業職の方も、ご自身の経験を強みに未経験から経理への転職を成功させました。彼は、営業としての日々の売上や利益を管理する中で、会社の数字がどのように作られていくのかという根幹部分への興味を深めていきました。

その方の志望動機のアピールポイントは以下の通りです。

営業職での経験 経理で活かせる強みとしてのアピール
売上目標や進捗の数値管理 数字を扱うことへの抵抗がなく、予実管理の重要性を理解している点。会社の業績に貢献したいという当事者意識。
顧客との折衝・社内調整 他部署や取引先と円滑に連携できるコミュニケーション能力。粘り強く調整し、物事を前に進める力。
日商簿記3級の取得 未経験の分野でも自ら学ぶ意欲と、経理職への本気度。基礎知識を習得していることによる早期戦力化への期待。

この方は、営業経験で培った数値管理能力コミュニケーション能力をアピールし、入社後はまず仕訳業務からスタート。数ヶ月で決算補助を任されるようになり、現在は将来のリーダー候補として期待されています。

販売・接客職ならではの強みを伝える志望動機

アパレルや小売などの販売・接客職も、経理とは無縁ではありません。むしろ、日々の業務の中に経理に繋がる要素がたくさん隠れています。例えば、毎日のレジ締めや売上報告は、経理の日次業務の基本そのものです。

その通りです!「お金を正確に扱う」経験は、経理の素養として非常に重要ですよ
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「自分にはアピールできる経験がない」と諦める前に、これまでの仕事を振り返ってみましょう。販売・接客職ならではの強みとして、以下のような点をアピールできます。

* 現金管理の正確性
毎日のレジ締めや売上金の管理は、1円の誤差も許されない正確性が求められます。この経験は、現金の出納管理や伝票処理といった経理の基本業務に直結する強みです。

* 在庫管理や売上分析の経験
商品の在庫管理や発注業務、売れ筋商品の分析などを担当していた経験はありませんか。それは、数字に基づいて物事を考える計数管理能力のアピールに繋がります。

* 丁寧なコミュニケーション能力
お客様への丁寧な対応はもちろん、時にはクレーム対応などで培ったコミュニケーションスキルは、社内の経費精算の問い合わせ対応や、他部署への確認作業などで必ず活きてきます。

これらの経験を「数字を扱うことへの興味」や「会社の土台を支える仕事へのやりがい」と結びつけることで、説得力のある志望動機を作成できます。

事務職からキャリアアップ|経理への熱意と将来性を伝える方法

一般事務や営業事務として働いている方が、キャリアアップを目指して経理職を希望するケースも非常に多いです。事務職はPCスキルや社内調整力など、経理業務と親和性の高いスキルを既にお持ちのため、未経験からでも比較的スムーズに移行しやすいポジションと言えます。

ただし、その分「なぜ、ただの事務ではなく経理なのか?」という点を明確に伝えることが重要になります。ここでアピールすべきは、専門性を身につけたいという強い意欲です。

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「手に職をつけたい」という気持ちをどう伝えればいいんだろう?

「より専門的なスキルを身につけ、会社の経営に直接貢献できる人材になりたい」という前向きな姿勢を示しましょう。例えば、請求書の発行業務を担当していたなら、「請求書を作成するだけでなく、その数字が会社の経営にどう影響するのかまで理解し、貢献範囲を広げたい」といった形で、現在の業務から一歩踏み込んだ意欲をアピールすると効果的です。

これまでの経験を「サポート役」としてではなく、「専門職へのステップ」として語ることで、あなたの将来性や成長意欲を採用担当者に強く印象付けることができるでしょう。

未経験から経理になった後のキャリアは?将来性を具体的に解説

無事に経理としての一歩を踏み出せたとして、その先にはどのようなキャリアが待っているのでしょうか。「手に職をつけたい」という想いで経理を目指すからには、将来性も気になるところです。経理のキャリアパスは、会社の規模や成長フェーズによって大きく異なります。ここでは、代表的なキャリアモデルと、未経験からでも市場価値を高めていくための秘訣を具体的に解説します。

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経理になった後、どうやって成長していくんだろう?

経理職のキャリアパスを未経験から考える

一般的な経理のキャリアステップ【安定企業モデル】

まず、組織体制が確立された大企業や、歴史のある安定した上場企業などでのキャリアステップを見てみましょう。このモデルの特徴は、段階的に業務範囲を広げながら、着実に専門性を深めていけることです。

焦らずじっくり成長できる環境が整っていることが多いですね
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未経験から入社した場合、以下のようなステップでキャリアを築いていくのが一般的です。

期間の目安 役職・ポジション 主な業務内容
1〜3年目 経理スタッフ 伝票処理、経費精算、債権債務管理など、日次・月次業務の基本を習得します。
3〜5年目 経理主任・係長 月次・年次決算の主担当や、開示資料作成の補助など、より専門的な業務を担います。後輩の指導も始まる時期です。
5年目以降 マネージャー・部長 チームのマネジメントや予算管理、監査法人対応、経営戦略への参画など、管理職として会社経営の中核を担います。

このように、安定企業では業務が細分化されていることが多く、一つの分野のプロフェッショナルを目指しやすい環境です。将来的に管理職を目指し、安定した環境で長期的なキャリアを築きたい方に適した道筋と言えるでしょう。

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成長企業で活躍する道も|専門性を高めるキャリアプラン

一方で、IPO(株式上場)を目指すベンチャー企業や、急成長中の企業では、キャリアの歩み方が大きく異なります。こちらのモデルの魅力は、若いうちから裁量権を持って幅広い業務に挑戦できる点です。

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IPO準備とか、なんだかダイナミックで面白そう!

成長企業では、経理部門がまだ少人数であることも多く、一人ひとりが担当する業務範囲が非常に広くなります。

* 経理・財務・経営企画の兼任
日々の経理業務だけでなく、資金調達(財務)や予算策定(経営企画)など、通常は別部門が担当するような業務にも関われるチャンスがあります。

* 仕組みづくりの経験
会社の成長に合わせて、内部統制の構築や新しい会計システムの導入、開示体制の整備など、「ゼロからイチ」を生み出す貴重な経験を積むことができます。

* 経営陣との距離の近さ
経営者と直接コミュニケーションを取りながら仕事を進める機会が多く、経営視点を間近で学びながらスキルアップできるのも大きな魅力です。

安定企業モデルに比べて変化が激しく、自ら学ぶ姿勢がより一層求められますが、会社の成長をダイレクトに感じながら自身の市場価値を飛躍的に高めたいと考える方には、非常にやりがいのある環境です。

専門家が語る|未経験からでも市場価値を高める秘訣

どのようなキャリアを歩むにしても、未経験からスタートした方が市場価値の高い経理人材へと成長していくためには、共通する秘訣があります。これは、私が多くの転職者と企業の採用担当者を見てきた経験から言えることです。

大切なのは、日々の業務への向き合い方と、少し先の未来を見据える視点です
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1. 目の前の業務を「なぜ?」と問う
任された伝票処理をただの作業で終わらせないでください。「この取引は、会社のどの事業活動から生まれたのか?」「この経費は、会社の利益にどう影響するのか?」と、数字の背景にあるビジネスを理解しようとする姿勢が、あなたを単なる「作業者」から「経理のプロ」へと成長させます。

2. +αのインプットを習慣にする
簿記2級を取得したら、次は簿記1級や税理士の科目合格を目指す。会社の海外展開に備えて英語を学ぶ。新しい会計基準の情報をキャッチアップする。このように、常に自分の専門性を高めるための学習を続けることが、他者との差別化に繋がります。

3. 自分の「できること」を棚卸しする
定期的にご自身のキャリアを振り返り、「何ができるようになったか」「次に何をすべきか」を考える時間を持つことが大切です。客観的な視点が欲しい時は、信頼できる上司や、私たちのようなキャリアの専門家に相談することも有効な手段です。

未経験というスタートラインは皆同じです。しかし、その後のキャリアで大きな差がつくのは、こうした日々の小さな意識の積み重ねに他なりません。

よくある質問

経理の仕事に向いていない人は?

一概には言えませんが、やはり「細かい作業が苦手な方」や「数字を扱うことに強い抵抗がある方」は、少し苦労するかもしれません。経理は日々、正確性を求められる地道な作業の積み重ねだからです。また、会社の機密情報を扱うため、責任感が求められます。逆に言えば、コツコツと物事に取り組むのが好きで、会社の土台を支える仕事にやりがいを感じられる方にとっては、非常に魅力的な仕事ですよ。
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未経験で経理職に転職できる年齢は?

明確な年齢制限はありませんが、実務の現場では、ポテンシャル採用として20代から30代前半くらいまでの方が多い傾向にあります。ただ、これはあくまで一般的な傾向です。30代後半以降の方でも、これまでのマネジメント経験や特定の業界知識などを経理の仕事と結びつけてアピールできれば、転職の可能性は十分にあります。年齢以上に、経理職への熱意や学習意欲、そしてご自身の経験をどう活かせるかを伝えることが重要になります。
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未経験で経理の年収はいくらですか?

勤務する地域や企業の規模によって異なりますが、私の経験上、未経験からのスタートですと年収300万円~400万円程度が一般的です。場合によっては前職より少し下がる可能性もあります。しかし、経理職の魅力はそこからのキャリアアップにあります。実務経験を積み、簿記2級や1級といった資格を取得することで、着実に年収を上げていくことが可能です。最初の年収だけでなく、長期的な視点でキャリアと年収を向上させていけるのが、経理という専門職の大きなメリットです。
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無料キャリア相談実施中

著者
後藤 大輝  
後藤 大輝  
HR事業部シニアマネージャー
株式会社クルー HR事業部 シニアマネージャー。2013年より管理部門・士業分野に特化した人材エージェントとしてキャリアをスタート。10年以上にわたり活躍し、全社MVP受賞やマネージャー職を歴任した。現在はCFO代行・IPO支援を行う株式会社クルーにてHR事業を統括している。得意とする分野は、上場準備企業を含む成長フェーズの管理部門(経理・財務、人事・総務、法務、経営企画など)のマッチングである。求職者と企業双方を自身が担当する一気通貫サポートが特長。企業の課題や募集背景も包み隠さず共有する誠実な情報提供と、量より質を重視した最適なマッチングを実践している。また、10年超で培った東海地区の知見と人脈を活かし、独自の機会提供も可能としている。
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