社労士資格の難易度・年収・将来性は?仕事内容から合格後のキャリアまで徹底ガイド - 管理のミカタ

社労士資格の難易度・年収・将来性は?仕事内容から合格後のキャリアまで徹底ガイド

社労士資格の難易度・年収・将来性は?仕事内容から合格後のキャリアまで徹底ガイド
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「今の仕事をこのまま続けていていいのかな…」「もっと専門性を身につけて、自分の市場価値を高めたい」

人事や総務の仕事に携わる中で、ふとこんな風に将来のキャリアへ不安を感じることはありませんか?日々の業務は多岐にわたり、経験を積んでも「私の専門はこれです」と自信を持って言えないもどかしさを感じている方もいらっしゃるかもしれません。

その漠然とした不安を解消し、キャリアの新たな一歩を踏み出すための強力な武器となり得るのが、「社会保険労務士(社労士)」の資格です。

この記事では、人事・労務のプロフェッショナルを目指したいと考えるあなたのために、まずは「社労士の具体的な仕事内容」「資格で年収は本当に上がるのか?」「AIに仕事は奪われない?」といった、気になる仕事のリアルを、多くのキャリアを見てきた専門家の視点から徹底解説します。

さらに、「私でも挑戦できる?という試験の難易度や勉強法」、そして最も重要な「資格取得後のキャリアで失敗しないための3つの秘訣」まで、あなたの挑戦を成功に導くための情報を余すところなくお伝えします。

あなたのキャリアの可能性を広げるための羅針盤として、ぜひ最後までじっくりとお読みください。

社労士資格はキャリアの武器になる?仕事内容・年収・将来性のリアル

「今の仕事をこのまま続けていていいのかな」「もっと専門性を身につけて、自分の市場価値を高めたい」。日々の業務に追われる中で、ふとそんな風にキャリアへの不安を感じることはありませんか。特に人事や総務の仕事は幅広く、経験を積んでも「私の専門はこれです」と自信を持って言いにくい、と感じている方もいらっしゃるかもしれません。

そのように漠然とした不安を解消し、キャリアの新たな一歩を踏み出すための強力な武器となり得るのが「社会保険労務士(社労士)」の資格です。

この記事では、人事・労務の分野でキャリアを築いていきたいと考えるあなたのために、社労士の仕事内容や年収、将来性といった気になるリアルな情報をお届けします。

人事・労務のスペシャリストへ!社労士の仕事内容とやりがい

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社労士って、具体的にどんな仕事をするんだろう?

社労士の仕事は、一言でいえば、企業の「人」に関する課題を法律の専門家として解決に導くことです。その業務は、書類作成や手続き代行といったものから、企業の根幹に関わる人事制度のコンサルティングまで、非常に多岐にわたります。

社労士の独占業務は「1号業務」「2号業務」と呼ばれ、これに加えて専門知識を活かした「3号業務」であるコンサルティング業務で企業の成長を支えます。

業務区分 具体的な仕事内容の例
1号・2号業務
(手続き・書類作成)
・労働保険、社会保険の加入・脱退手続き
・給与計算
・労働者名簿や賃金台帳などの作成
・助成金の申請代行
3号業務
(コンサルティング)
・就業規則の作成、見直し
・人事評価制度や賃金制度の構築
・労務トラブルの相談、解決支援
・従業員のメンタルヘルス対策

これらの業務を通じて、従業員が安心して働ける環境を整え、企業の健全な発展をサポートできることが、社労士の仕事の大きなやりがいです。法律の知識を駆使して経営者から頼られ、従業員からは感謝される、まさに人事・労務のスペシャリストとしての実感を得られるでしょう。

社労士の資格で年収は本当に上がる?

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難しい資格を取るからには、やっぱり年収アップも期待したい!

これは非常によくいただく質問ですが、転職エージェントとしての経験から本音でお答えすると、「社労士の資格を取得しただけでは、必ずしも年収が上がるわけではない」というのが現実です。

大切なのは「資格をどう活かすか」なんです!
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なぜなら、企業が評価するのは資格そのものではなく、「資格の知識を活かして、自社にどのような価値をもたらしてくれるか」だからです。例えば、単に給与計算を正確に行えるだけでなく、「新しい評価制度を構築して、従業員のモチベーションを高め、離職率を5%改善した」といった具体的な成果を出せるかどうかが、年収アップを左右する重要なポイントになります。

私の支援実績でも、在職中に社労士の資格を取得したものの、それだけでは年収に大きな変化がなかった方がいらっしゃいます。しかし、その資格を武器に転職活動をされた結果、これまでとは違う「労務の専門家」としてのポジションで、より責任と裁量のある仕事に就くことができました。資格は、年収アップの直接的な要因ではなく、より付加価値の高い仕事に挑戦するためのパスポートと考えるのが良いでしょう。

AI時代でも安心?社労士の資格が持つ将来性と市場価値

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手続きの仕事って、将来AIに奪われちゃわないかな…

確かに、給与計算や社会保険手続きといった定型的な業務は、今後AIやシステムの活用が進むことで自動化されていく可能性があります。しかし、それで社労士の仕事がなくなるわけではありません。むしろ、人間だからこそできる業務の価値が、これまで以上に高まっていくと考えられます。

働き方改革の推進、多様な雇用形態への対応、ハラスメント問題など、現代の企業が抱える「人」に関する課題はますます複雑化しています。こうした課題に対して、法律の知識はもちろん、コミュニケーションを取りながら最適な解決策を導き出すのが社労士の役割です。

AIに代替されやすい業務 価値が高まる人間ならではの業務
・定型的なデータ入力 ・複雑な労務トラブルの相談対応
・単純な手続き書類の作成 ・各企業の実情に合わせた人事制度の企画・立案
・基本的な給与計算 ・経営層に対する労務リスクに関するアドバイス

AIを使いこなして業務を効率化しつつ、人間にしかできないコンサルティング業務で専門性を発揮する。そのような意欲を持つ社労士は、これからも企業にとって不可欠な存在であり続け、その市場価値はますます高まっていくでしょう。社労士の資格は、変化の激しい時代を生き抜くための確かな羅針盤となるはずです。

【私でも挑戦できる?】社労士の資格取得に向けた完全ガイド

社労士の仕事の魅力や将来性を知ると、「自分も挑戦してみたい!」という気持ちが湧いてきますよね。しかし同時に、「でも、合格するのはすごく難しいんでしょう?」「そもそも私に受験する資格があるのかな?」といった不安や疑問も出てくるのではないでしょうか。

ここからは、そんなあなたの不安を解消し、社労士の資格取得というゴールに向けて具体的な一歩を踏み出すための情報をお届けします。試験の難易度から受験資格、そしてあなたに合った勉強法の見つけ方まで、詳しく見ていきましょう。

社労士資格の難易度は?合格率と必要な勉強時間の目安

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正直なところ、社労士の資格の難易度ってどのくらいなんですか?

社労士の資格試験は、一般的に難関国家資格の一つに数えられています。その理由として、合格率の低さが挙げられます。例年の合格率は6〜7%前後で推移しており、100人が受験しても6人程度しか合格できない、非常に狭き門であることがわかります。

なぜこれほどまでに難易度が高いのかというと、試験範囲が労働法から社会保険までと非常に広いことに加え、各科目に「足切り」と呼ばれる合格基準点が設けられているためです。つまり、総合点で合格ラインに達していても、一つでも基準点に満たない科目があれば不合格になってしまうのです。得意科目で点数を稼ぐだけではダメで、全ての科目でまんべんなく得点する力が求められます。

合格に必要な勉強時間は800〜1,000時間が目安と言われています!
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これは、働きながら毎日2〜3時間勉強したとしても、1年から1年半ほどの期間が必要になる計算です。決して楽な道のりではありませんが、裏を返せば、それだけ計画的に学習を継続すれば、合格は決して不可能ではないということです。数字だけを見て諦めるのではなく、正しい努力を積み重ねることが何よりも大切です。

まずはここから!社労士の受験資格をチェックしよう

社労士の資格試験は、誰でも受けられるわけではなく、定められた受験資格のいずれかを満たしている必要があります。「自分には受験資格がないかもしれない」と不安に思うかもしれませんが、実はその門戸は意外と広く開かれています。まずはご自身が当てはまるものがないか、確認してみましょう。

受験資格は、大きく分けて「学歴」「実務経験」「国家試験合格」の3つのルートがあります。

区分 主な条件の例
学歴 ・大学、短期大学、高等専門学校(5年制)の卒業
・一定の要件を満たした専門学校の卒業
実務経験 ・労働社会保険諸法令に関する事務に3年以上従事
・社会保険労務士や弁護士の業務補助に3年以上従事
・労働組合の専従役員として3年以上従事
国家試験合格 行政書士試験の合格
司法試験予備試験の合格
厚生労働大臣が認めた国家試験の合格
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人事や総務の経験がなくても、大卒なら受験できるんですね!

その通りです。また、「実務経験」というと人事・労務の仕事だけをイメージしがちですが、例えば一般企業の従業員として労働組合の業務に携わった経験なども含まれる場合があります。ご自身の経歴で判断に迷う場合は、公式サイトである全国社会保険労務士会連合会 試験センターで詳細を確認することが、合格への確実な第一歩となります。

働きながら合格へ!自分に合った勉強法の見つけ方

社労士試験の受験者の多くは、働きながら合格を目指しています。限られた時間の中で膨大な試験範囲を効率よく学習するためには、自分に合った勉強法を見つけることが何よりも重要です。勉強法は、大きく「独学」と「予備校・通信講座の利用」の2つに分けられます。

それぞれのメリット・デメリットを理解して、ご自身に合う方法を選びましょう!
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それぞれの特徴を比較してみましょう。

比較項目 独学 予備校・通信講座
費用 安い(教材費のみ) 高い(数十万円程度)
学習ペース 完全に自由 カリキュラムに沿って進む
モチベーション 自己管理が不可欠で維持が難しい 仲間や講師の存在が支えになる
法改正等の情報 自分で常に収集する必要がある 最新情報が提供される

費用を抑えられる点は独学の大きな魅力ですが、法改正の多い社労士試験において最新情報を自分で追い続けることや、一人でモチベーションを保ち続けることは想像以上に大変です。一方で、予備校や通信講座は費用がかかるものの、合格のために最適化されたカリキュラムや教材、質問できる環境が整っています。

どちらが良い・悪いということではありません。ご自身の性格、確保できる勉強時間、予算などを総合的に考えて、最も学習を継続しやすい方法を選ぶことが、働きながら合格を掴むための鍵となります。

資格取得後のキャリアで失敗しないために知っておきたい3つのこと

長い勉強期間を経て、ついに社労士の資格を手にしたとき、その達成感はひとしおでしょう。しかし、本当のスタートはそこからです。「資格さえ取れば、バラ色のキャリアが待っている」…もし、そう考えているとしたら、少しだけ立ち止まって考えてみてください。

資格取得後のキャリアで「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないために、転職エージェントとして多くのキャリアを見てきたからこそお伝えできる、3つの大切なことをお話しします。

「資格だけ」はNG?企業が本当に求めるスキルと人物像

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資格があれば、どこの会社でも通用するんじゃないの?

残念ながら、答えは「No」です。特に成長意欲の高い企業ほど、社労士の資格を持っていることは「スタートライン」に立ったに過ぎないと捉えています。知識があるのは大前提で、その知識をどう活かして会社に貢献してくれるのか、という「プラスアルファ」のスキルを非常に重視します。

採用の現場で特に求められるのは、この3つの力です!
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企業が求めるスキル なぜそのスキルが重要なのか?
コミュニケーション力 経営層への法改正の説明、従業員からのデリケートな相談対応など、相手の立場に合わせて分かりやすく伝え、調整する力が不可欠だからです。
正確性 給与計算や社会保険手続きは、1円、1日のミスが従業員の生活や会社の信頼に直結します。プレッシャーの中で、正確に業務を遂行する力は必須です。
企画力・意欲 会社の急な成長や制度変更に対し、ただ受け身で対応するのではなく、「もっとこうすれば良くなる」と主体的に制度企画や改善提案ができる人材が求められます。

資格の知識をインプットするだけでなく、これらのスキルを意識して日々の業務に取り組むことが、資格の価値を何倍にも高めることにつながります。

【実例】資格を活かして「専門家」へ!キャリアチェンジの現実

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実際に資格を活かして、キャリアアップした人の話が聞きたいな。

はい、私が担当したAさん(30代後半)の事例をご紹介します。Aさんは、10年間ほど総務・人事を兼任していましたが、業務はルーティンが多く、専門性に限界を感じていました。「自分の市場価値を高めたい」という思いで、働きながら社労士の資格を取得されました。

資格取得後、すぐに年収が大きく上がったわけではありませんでした。しかし、転職活動を始めると、状況は一変します。

資格取得前は「総務・人事全般」を担えるジェネラリストとしての求人が中心でしたが、取得後は「労務のスペシャリスト」として、IPO準備企業や成長企業から次々と声がかかるようになったのです。

資格が「専門家」としての扉を開く鍵になったんですね!
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Aさんの事例は、資格がキャリアの選択肢を劇的に広げることを示しています。年収アップは結果論であり、まずは資格を武器に挑戦できる仕事の「質」を変えていくこと、それがキャリアチェンジの現実的なステップと言えるでしょう。

社労士事務所と企業内労務の志望動機の作り方【例文付き】

独立は甘くない?勤務社労士として経験を積む重要性

社労士の資格取得を考える方の中には、「いつかは独立開業したい」という夢をお持ちの方も多いでしょう。しかし、その道は決して平坦ではありません。

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独立すれば、自由に働けて儲かるイメージがあるけど…

独立後の現実は、顧問先を獲得するための激しい競争が待っています。専門知識が豊富なだけでは経営は成り立たず、むしろ「営業力」や「マーケティング力」といった経営スキルが成功を大きく左右します。残念ながら、廃業に至るケースも少なくないのが実情です。

だからこそ、私は「まずは勤務社労士として働きましょう」とアドバイスしています。
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なぜなら、企業の中で働くことで、机上の知識だけでは得られない「リアルな課題」に直面できるからです。

* 経営者は何に困っているのか?
* 従業員はどんな不安を抱えているのか?
* 制度を導入するとき、現場ではどんな抵抗が起こるのか?

こうした企業内部のリアルなニーズを肌で感じることが、将来独立した際に本当に価値のあるサービスを提供するための、何よりの財産になります。焦って独立を目指すのではなく、まずは勤務社労士としてじっくりと実務経験を積み、企業側の課題解決のプロフェッショナルになること。それが、結果的に成功する独立への一番の近道なのです。

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よくあるご質問

Q:社労士の資格は難しいですか?

はい、一般的に難関国家資格の一つと言われています。合格率が例年6〜7%前後と低いことがその理由です。試験範囲が非常に広い上に、各科目に合格基準点(足切り)が設けられているため、全ての科目でまんべんなく得点する必要があります。しかし、計画的に正しい努力を継続すれば、合格は決して不可能な試験ではありません。
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Q:社労士は独学で取れる資格ですか?

独学で合格される方もいらっしゃるので、不可能ではありません。しかし、法改正の情報を自分で追い続けたり、長期間モチベーションを維持したりするのは想像以上に大変です。費用はかかりますが、予備校や通信講座を利用すると、最新情報が手に入り、効率的なカリキュラムで学習を進められるメリットがあります。ご自身の性格や予算に合わせて、最適な学習方法を選ぶことが大切です。
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Q:社労士になるのは何か月で取れる?

合格に必要な勉強時間は、一般的に800〜1,000時間が目安とされています。もし働きながら毎日2〜3時間勉強する場合、期間としては1年〜1年半(12ヶ月〜18ヶ月)ほどかかる計算になります。もちろん、学習開始時点での知識や1日に確保できる時間によって個人差はありますが、長期的な計画を立ててコツコツ学習を進めることが合格への鍵となります。
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著者
後藤 大輝  
後藤 大輝  
HR事業部シニアマネージャー
株式会社クルー HR事業部 シニアマネージャー。2013年より管理部門・士業分野に特化した人材エージェントとしてキャリアをスタート。10年以上にわたり活躍し、全社MVP受賞やマネージャー職を歴任した。現在はCFO代行・IPO支援を行う株式会社クルーにてHR事業を統括している。得意とする分野は、上場準備企業を含む成長フェーズの管理部門(経理・財務、人事・総務、法務、経営企画など)のマッチングである。求職者と企業双方を自身が担当する一気通貫サポートが特長。企業の課題や募集背景も包み隠さず共有する誠実な情報提供と、量より質を重視した最適なマッチングを実践している。また、10年超で培った東海地区の知見と人脈を活かし、独自の機会提供も可能としている。
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