経理未経験はしんどい?これから経理に挑む方へのアドバイス

経理未経験がしんどいと感じる主な理由
経理の仕事に挑戦したばかりの方が「しんどい」と感じる背景には、いくつかの共通した課題があります。これらはすべて「慣れれば解決すること」も多い一方で、初期のつまずきがモチベーション低下につながってしまうケースも。ここでは、未経験から経理に入った方がぶつかりやすい3つの壁について詳しく解説します。
専門知識が多くて覚えるのが大変

経理業務は、仕訳や決算など、日常では馴染みのない用語と知識が飛び交う職種です。未経験で飛び込むと、「なぜこれをやっているのか」「どこに繋がる業務なのか」が見えづらく、理解に時間がかかります。
専門用語の多さに、心が折れそうになりますよね。最初は分からなくて当然です。
はじめての方にもわかる!会計用語の基本と具体例
経理や会計の経験がない方でも理解しやすいように、会社でよく使われる会計用語をやさしく解説します。用語の意味だけでなく、実際の例も紹介することで、イメージしやすくなるはずです。
用語 | 説明 |
---|---|
仕訳 | 毎日の「お金の動き」を記録する方法。例:商品を100万円で販売し現金受取 →「現金 1,000,000 / 売上 1,000,000」 |
決算 | 会社の「1年間の成績」をまとめる作業。帳簿確認、利益・税金計算、財務諸表の作成など。 |
試算表 | 仕訳をもとに今の会社のお金の動きや残高を一覧にした表。決算前の整合チェックに使用。 |
貸借対照表(B/S) | 資産・負債・純資産をまとめた表。現金・在庫(資産)、借入金(負債)、資本金(純資産)など。 |
損益計算書(P/L) | 売上・費用・利益をまとめた表。儲かったか損したかを把握。 |
キャッシュ・フロー計算書(C/F) | 現金の出入りに注目した表。売上入金(プラス)、借金返済や設備購入(マイナス)など。 |
財務諸表 | B/S・P/L・C/Fの総称。企業の健康状態・経営成績・資金の動きを立体的に把握。 |
とはいえ、日商簿記3級を取得しておけば基礎用語の理解は一気に進みます。最近では、未経験者でも資格取得+意欲をアピールできれば採用される事例が多く見られます。
失敗談(例): 入社当初、仕訳入力で借方と貸方を逆にしてしまい、試算表が合わなくなりました。上司から「取引の実態を言葉で説明してから仕訳に落とし込むこと」と厳しく指導。以後は取引の実態 → 影響する勘定科目 → 借貸の方向の順にメモを作ってから入力する運用に変えると、同種ミスは激減し、用語の意味も腹落ちしました。
- 仕訳前に「現金は増える?減る?」を声に出して確認
- 迷った勘定科目は付箋で根拠を書き、上司に理由ごと相談
- 同じミスはチェックリスト化して次の自分へ引き継ぎ

小さなミスも許されないプレッシャー

経理の仕事は、企業の財務情報を正確に管理することが求められるため、どんな小さなミスも大きな問題につながる恐れがあります。これが精神的なプレッシャーになり、「しんどい」と感じやすい大きな原因です。
1円のズレでも不安になりますよね。未経験のうちは特に緊張が強くて当たり前です。
失敗談(例): 月次締めで請求書の単価に小数点の入れ忘れがあり、桁ズレで売上を過大計上。上司の差戻しで発覚して冷や汗…。以降は「伝票入力→合計値の見込みと突合→第三者視点で読み上げ確認」の3段階チェックに変更。Excelではデータの入力規則・IFERRORで異常値を色付けし、手戻りが激減しました。
- 締め日前日の「読み上げチェック」をルーティン化
- 二重承認フロー(作成者と承認者の分離)を徹底
- システムの必須項目・桁数制限などガードレールを活用

経理の繁忙期がしんどい原因になる

経理職には「繁忙期」があります。多くの企業では3月や12月が決算期となっており、その前後は通常業務に加え、数値の集計・チェック・報告業務が重なります。これが未経験者にとっては特に大きな負担となります。
カレンダーが真っ黒に埋まって、気持ちも体力も削られますよね。
繁忙期の時期 | 主な業務内容 |
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3月〜4月 | 年度末決算・税務申告 |
6月〜7月 | 株主総会・有価証券報告書の提出 |
12月 | 年末調整・月次締め対応 |
エピソード(例): 初めての年次決算では資料回収が後手に回り、毎日終電。翌年は資料依頼テンプレを用意し、関係部署への締切を2週間前倒し、共有シートで進捗を見える化。さらに「監査質問の想定Q&A」を事前配布した結果、残業は半分以下に減りました。
- 「誰から・何を・いつまでに」を一覧化して前倒し依頼
- 依頼テンプレに根拠(監査・税務)を明記して理解を促進
- 決算ウィークは会議を減らし、集中時間をチームで確保

未経験者が急にこの時期に投入されると、覚えることの多さとスピード感に押しつぶされそうになることも。しかし、最初の1年は「ついていくだけでもOK」と割り切ることで、少しずつ慣れていくことができます。
PCスキルが必要

経理の仕事は紙の帳簿をつける時代から大きく変化し、今では会計ソフトやクラウドシステムの操作が必須。入力・照合・保存など、ほぼすべてがパソコンで完結するため、基本的なPCスキルは求められます。
カタカナ用語やショートカットの多さに、最初は頭が真っ白になりますよね。
また、電子帳簿保存法やインボイス制度など、法改正によって経理業務のIT化・ペーパーレス化が進展。対応範囲は年々広がっていますが、未経験者向けの職場では「研修マニュアル」や「操作手順書」が整備されているケースも多く、3〜4ヶ月ほどで慣れる人がほとんどです。
失敗談(例): 会計ソフトへの仕訳インポートでCSVの区切り設定を誤り、全件エラーに。以後は「テスト用会社」で事前検証してから本番反映、バックアップ取得 → 小ロット投入 → 結果確認の順に運用を変更し、事故を未然に防げるようになりました。
- 「練習用データ」「テスト環境」でまず試す
- 手順書にスクショを残し、更新履歴を管理
- Excelのショートカット・関数チートシートをデスク常備

経理未経験のしんどさを軽減する対処法
経理の仕事が「しんどい」と感じるのは、経験不足や知識の不安が原因となっていることが多いです。しかし、正しいステップを踏めば、未経験からでも安心して成長していけます。ここでは、実際に効果のある3つの対処法を紹介します。
最初の1年は割り切って経験を積む

未経験から経理に転職した人が最も挫折しやすいのが、入社後3ヶ月〜半年あたりです。この期間は覚えることが多く、業務の全体像もつかみにくいため、「自分には無理かもしれない」と感じることもあるでしょう。
しかし、最初の1年は“慣れることが仕事”と割り切るだけで、精神的負担は大きく軽減されます。

簿記などで知識を補い不安を減らす

実務でよく使われる会計知識は、簿記3級の内容をカバーしていれば、理解が格段にスムーズになります。実際に、現在の転職市場では「日商簿記3級以上を保有し、業務への前向きな意欲がある方」であれば、未経験でも採用されるケースが増えています。
おすすめの学習方法 | 特徴・ポイント |
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オンライン講座(無料含む) | 自宅で気軽に学習でき、復習もしやすい |
市販のテキスト&問題集 | 試験対策にも対応、学習進度を自分で管理可能 |
未経験者向け経理講座(実務特化) | 業務に即した知識とスキルを短期間で習得可能 |
社内の人と積極的に関わる意識を持つ

経理職は、集中して黙々と作業する場面が多く、コミュニケーションが少ない職場も少なくありません。しかし、未経験であれば「質問すること」「確認すること」が成長への近道です。
積極的に関わるコツは以下のとおりです。
– 朝の挨拶やランチのタイミングで軽く話しかける
– わからない点は「教えてください」と素直に聞く
– メールよりも口頭でのやり取りを意識する

経理未経験でも向いている人の特徴とは
経理は専門的な知識を必要とする職種ですが、未経験でも十分に活躍できる人がいます。ここでは、どのような人が経理に向いているのか、逆にどんな傾向のある人が苦労しやすいのか、そして自分に合っているかを見極めるためのヒントをご紹介します。
経理に向いている人の性格やスキル

経理に向いている人には、以下のような特徴が見られます。
性格・スキル | 理由・活かせる場面 |
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コツコツ物事を進めるのが得意 | 仕訳や集計など、地道な作業を正確に進められる |
数字に苦手意識がない | 取引金額や帳簿の管理で数字を扱う機会が多い |
報告・連絡・相談ができる | トラブル時の迅速な共有や上司への確認が重要 |
資格の有無よりも、誠実さ・几帳面さ・責任感といった基礎的な仕事姿勢が評価されやすい職種です。
経理に向いていない人の傾向

もちろん、すべての人が経理職にフィットするわけではありません。次のようなタイプは、経理業務でストレスを感じやすい傾向にあります。
– ミスに過度な恐怖心を持ってしまう
– 作業のルールや手順に縛られるのが苦手
– 数字を見ると拒否反応が出る
– 自己判断が多く、確認作業を省略しがち
ただし、これらの傾向があるからといって「絶対に無理」というわけではありません。業務に慣れることで克服できるケースも多いのです。
自己分析で向き不向きを見極める

経理職への適性を確認するには、過去の仕事・性格・価値観を整理する「自己分析」が有効です。
以下は簡単にチェックできるポイントです。
チェックポイント | 確認のヒント |
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過去に数字を扱う業務をしたことがある | 売上管理、レジ業務、在庫管理なども含まれる |
スケジュールやタスク管理を丁寧にしている | ToDoリストや手帳を使って日々の管理ができる |
慎重に確認してから動く習慣がある | 「思いつきより確実性」を重視するタイプかどうか |

経理未経験でしんどいと感じた時の選択肢
経理の仕事が「合わない」「つらい」と感じたとき、我慢して続けるだけが選択肢ではありません。自分に合った環境や職種を選び直すことで、ストレスを減らしながら働き続けることも十分可能です。ここでは、経理未経験でしんどさを感じた人が取った実際の行動や、次に進むためのヒントをご紹介します。
経理から他職種に転職した事例

もちろん、経理の経験を活かして別職種へキャリアチェンジする人も少なくありません。以下は実際にあった転職事例です。
前職(経理) | 転職後の職種・理由 |
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経理アシスタント(1年目) | 人事職へ転職。「人と関わる仕事がしたい」との思いから |
総務経理(2年経験) | 経営企画へキャリアアップ。数字管理の知識が評価された |
会計事務所で経理補助 | 営業職に転職。丁寧な説明力や資料作成スキルが強みに |

【未経験から経理への転職方法】成功のコツ・必要なスキル・体験談の総まとめ
未経験OKの派遣やパートも視野に入れる

「経理職=正社員」という固定観念は必要ありません。実際に、派遣やパートといった形で経理経験を積む方も増えています。
派遣やパートのメリット
– 時間や勤務地を柔軟に選べる
– 業務範囲が限定されているため覚えやすい
– 実務経験を積んでから正社員を目指せる
現在の転職市場では、実務未経験でも日商簿記3級とやる気を示せば、派遣求人への応募は十分可能です。
転職エージェントで環境改善を図る

そんな時に頼りになるのが、転職エージェントの存在です。経理職に詳しいエージェントであれば、以下のようなサポートを受けられます。
サポート内容 | 得られるメリット |
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経理業務の実態や職場の雰囲気を教えてくれる | ミスマッチの予防になる |
求人票の読み方や比較ポイントを解説 | 自分に合う職場を見つけやすくなる |
面接や書類対策のアドバイス | 選考通過率が上がる |

よくある質問
Q: 経理に向かない性格は?

Q: 経理は何年で慣れますか?

Q: 経理事務の離職率は高いですか?
