【経理スキル一覧】経理業務内容を徹底解説
経理スキル一覧|全体像をわかりやすく解説
経理の仕事には多岐にわたるスキルが求められます。日常的な取引の記録から決算業務、さらに財務分析や税務対応まで、さまざまな業務をスムーズに遂行するためには、専門的な知識と実務経験が欠かせません。ここでは、経理スキルの全体像について詳しく解説します。
経理スキルとは|基本の役割を知ろう
経理スキルとは、企業の資金や取引を管理し、正確な財務情報を提供するための知識と能力を指します。このスキルは以下のような役割を担います。
- 日々の取引を記録し、資金の流れを把握する
- 月次や年次の決算書を作成する
- 税務申告や監査対応を行う
経理スキルは、企業の健全な経営に不可欠な「経営の基盤」を支える存在です。
経理スキル一覧|会計・財務との違い
経理、会計、財務は混同されやすいですが、それぞれ役割が異なります。以下の表で具体的な違いをまとめました。
| 分野 | 主な役割 |
|---|---|
| 経理 | 日々の取引記録や決算書の作成 |
| 会計 | 財務諸表の作成や会計基準の適用 |
| 財務 | 資金調達や投資計画の立案 |
これらの違いを理解することで、必要なスキルを明確に把握できます。
【保存版】経理スキルマップとは?構成・活用方法・スキルアップ手段まで徹底解説
経理スキルを身につけるメリット
経理スキルを身につけると、以下のようなメリットがあります。
- 職場での信頼度が向上し、キャリアの幅が広がる
- 経営や財務の視点を持つことで、より戦略的な思考が身につく
- 転職市場での競争力が高まり、収入アップにつながる
特に、経理スキルは企業規模や業種にかかわらず普遍的に求められるため、習得することで長期的なキャリアの安定が期待できます。
スキル×業務マトリクス表:どの業務に、どのスキルが必要か
経理のスキルアップを目指す上で、「どの業務に、どのスキルが、どの程度必要なのか」を把握することは、効率的な学習計画を立てるために非常に重要です。以下のマトリクス表は、業務サイクルごとに求められるスキルの重要度を示しています。ご自身の現在地と、次に目指すべきスキルを確認してみましょう。
| 業務サイクル \ スキル | 簿記・会計知識 | PCスキル (Excel等) | コミュニケーション | 法律・税務知識 | 財務分析力 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日次業務 | ◎ 必須 | ◎ 必須 | △ あれば尚可 | △ あれば尚可 | – |
| 月次業務 | ◎ 必須 | ◎ 必須 | ○ 推奨 | ○ 推奨 | △ あれば尚可 |
| 年次業務 | ◎ 必須 | ○ 推奨 | ◎ 必須 | ◎ 必須 | ○ 推奨 |
(◎:必須レベル、○:推奨レベル、△:あれば尚可)
この表から分かるように、キャリアの初期段階である日次業務では、まず「簿記知識」と「PCスキル」が絶対的な土台となります。そして、月次、年次とステップアップするにつれて、他部署や社外の専門家と連携するための「コミュニケーション能力」や、税務申告・監査対応のための「法律・税務知識」、経営報告のための「財務分析力」の重要性が増していきます。
経理スキル一覧|業務サイクル別に解説
経理の業務は、毎日行う「日次業務」、毎月行う「月次業務」、年に一度行う「年次業務」という3つのサイクルで回っています。それぞれのサイクルで求められるスキルは異なり、段階的にステップアップしていくのが一般的です。ここでは、各サイクルでどのようなスキルが必要になるのかを、具体的な業務内容と習得期間の目安とともに解説します。
日次業務のスキル:経理キャリアの第一歩
日次業務は、会社の日々のお金の動きを正確に記録する、経理の最も基本的な業務です。未経験者は、まずここからスタートします。
| 主な業務内容 | 必要となるスキル | 習得期間の目安 |
|---|---|---|
| ・伝票の起票、仕訳入力 ・経費精算 ・請求書の発行 ・現預金の入出金管理 |
・日商簿記3級レベルの知識 ・会計ソフトの基本操作 ・Excelの基本関数(SUMなど) ・正確性とスピード |
入社後 0~3ヶ月 |
月次業務のスキル:会社の「健康診断」を担う
月次業務では、1ヶ月分の取引を集計し、その月の経営成績を確定させます。会社の健康状態をタイムリーに把握するための重要な業務です。
| 主な業務内容 | 必要となるスキル | 習得期間の目安 |
|---|---|---|
| ・月次決算の補助 ・売掛金・買掛金の残高照合 ・試算表の作成 ・給与計算、社会保険料計算 |
・日商簿記2級レベルの知識 ・Excelの中級関数(VLOOKUPなど) ・財務諸表の構造理解 ・他部署とのコミュニケーション能力 |
入社後 6ヶ月~2年 |
年次業務のスキル:1年の総仕上げと専門性の発揮
年次業務は、1年間の会社の経営活動を総まとめする、経理にとって最大のイベントです。高度な専門知識と責任感が求められます。
| 主な業務内容 | 必要となるスキル | 習得期間の目安 |
|---|---|---|
| ・年次決算の主担当 ・法人税・消費税の税務申告書作成 ・監査法人対応 ・開示資料(有価証券報告書など)の作成 |
・日商簿記1級レベルの知識 ・税法に関する深い理解 ・高度な分析力と説明能力 ・プロジェクトマネジメント能力 |
入社後 3年~ |
企業規模や業種で異なる経理スキル一覧
経理業務の内容や求められるスキルは、企業の規模や業種によって異なります。それぞれの特徴を理解し、自分に合ったキャリアプランを描くことが重要です。
大企業で求められる経理スキル
大企業では、経理部門が細分化され、特定の業務に特化したスキルが求められることが多いです。主な特徴と必要なスキルは以下の通りです。
- 専門知識:連結決算や国際会計基準(IFRS)に対応するスキル
- システムスキル:ERP(統合業務システム)の操作スキル
- 分析力:大規模なデータを基に財務分析を行う能力
大企業の経理業務は高度な専門性が求められる一方で、部門間の調整能力も重要です。
中小企業向けの経理スキル
中小企業では、経理担当者が多岐にわたる業務を担当することが一般的です。そのため、幅広いスキルセットが必要です。
- マルチタスク能力:日常業務から税務申告まで一貫して対応
- 実務経験:手作業の多い業務を効率よくこなす力
- コミュニケーション能力:経営者と直接やり取りする機会が多いため
中小企業の経理は、会社全体を把握し、経営に直接貢献することが求められるため、責任感と柔軟性が重要です。
業種別の経理スキル|製造業・金融業など
業種によっても求められる経理スキルは異なります。以下は主な業種ごとの特徴です。
| 業種 | 必要なスキル |
|---|---|
| 製造業 | 原価計算や在庫管理の知識 |
| 金融業 | 金融商品の理解や厳密な資金管理能力 |
| 不動産業 | 契約書管理や税務知識(減価償却など) |
| 小売業 | 売上管理や在庫の迅速な把握能力 |
それぞれの業種で特有の経理スキルを磨くことで、専門性を高めることが可能です。
経理スキル向上に役立つ資格とツール
経理スキルを向上させるには、資格の取得や最新のツールの活用が効果的です。ここでは、経理スキルを高める資格、業務効率化を促進するツール、学習方法を詳しく解説します。
経理スキルを高める資格一覧
資格の取得は、専門性を証明し、転職やキャリアアップにおいて有利に働きます。以下は経理スキルを高める主要な資格です。
- 日商簿記検定:基礎から高度な会計スキルを網羅
- ビジネス会計検定:財務諸表の分析スキルを習得
- FASS検定:実務に役立つ財務・会計スキルを評価
- 給与計算実務能力検定:給与計算や関連法規を学べる
資格を取得することで、スキルを体系的に学べるだけでなく、職場での信頼度も高まります。
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業務効率化に役立つ経理ツール
経理業務を効率化するためには、最新のツールを活用することが重要です。以下のツールは特に効果的です。
- 会計ソフト:弥生会計、freeeなど、仕訳や決算作業を効率化
- 経費精算ツール:楽楽精算など、経費管理を自動化
- 給与計算ツール:SmartHRなど、給与処理を簡便化
これらのツールを活用することで、業務の効率化だけでなく、ヒューマンエラーの防止にもつながります。
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経理スキルアップのための学習方法
効率よく経理スキルを高めるには、適切な学習方法を選ぶことが大切です。以下の方法がおすすめです。
- オンライン講座:UdemyやYouTubeでの簿記・会計講座
- 書籍:分かりやすい解説書や実務に即したテキスト
- 実務経験:現場での経験を積み重ねる
さらに、税理士や経験豊富な先輩にアドバイスをもらうことも、スキルアップに役立ちます。
経理スキル別の年収目安
経理スキルの向上は、キャリアアップだけでなく、年収アップにも直結します。「どのレベルのスキルを身につければ、どのくらいの年収が期待できるのか」を把握しておくことは、学習のモチベーションを維持する上で非常に重要です。ここでは、スキルレベルと役職に応じた年収の目安をご紹介します。
| 役職・レベル | 年収目安 | 求められる主要スキル |
|---|---|---|
| 経理スタッフ (担当者レベル) |
350万円~500万円 | ・日次業務を一人で完結できる ・日商簿記3級~2級程度の知識 ・Excelの基本操作 |
| 経理主任 (中堅レベル) |
500万円~700万円 | ・月次決算を主担当として完結できる ・年次決算の補助経験 ・後輩への指導経験 |
| 経理課長 (管理職レベル) |
700万円~900万円 | ・年次決算を統括できる ・税務申告、監査対応の経験 ・管理会計、予実管理の知識 |
| 経理部長・CFO (経営層レベル) |
900万円以上 | ・経理部門全体のマネジメント ・財務戦略、資金調達の立案 ・経営陣への戦略的提言 |
※上記の年収は、企業規模や業界、個人の経験によって変動します。
このように、経理職は担当できる業務のレベルが上がるにつれて、任される責任範囲が広がり、年収も着実にアップしていくのが特徴です。日々の業務を着実にこなしながら、資格取得などを通じて体系的な知識を身につけていくことが、高年収を目指すための王道ルートと言えるでしょう。
経理に向いている人・向いていない人の特徴
経理のスキルは後からでも身につけられますが、性格的な向き・不向きも確かに存在します。転職してから「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないために、経理職に求められる資質と、ご自身の性格を照らし合わせてみましょう。
経理に向いている人の5つの特徴
- 細かい作業をコツコツと続けられる人
経理の仕事は、地道なデータ入力やチェック作業の繰り返しです。派手さはありませんが、一つ一つの作業を丁寧に、根気強く続けられる人は、経理の素質があります。 - 数字に抵抗がなく、論理的に物事を考えられる人
「なぜこの数字が合わないのか?」その原因を、勘定科目を一つずつ辿りながら論理的に突き詰めていく作業は、まるでパズルや謎解きのようです。数字の矛盾点を見つけ、解決することに面白さを感じられる人は、経理の仕事を楽しめるでしょう。 - 責任感が強く、真面目な人
会社のお金を扱い、経営判断の基となる重要な情報を作成するため、強い責任感が求められます。「会社の信頼を自分が支えている」という意識を持って、真摯に業務に取り組める人は高く評価されます。 - 常に学び続ける意欲がある人
会計基準や税法は毎年のように変わります。一度覚えた知識に安住せず、常に新しい情報をキャッチアップし、自身の知識をアップデートし続ける学習意欲のある人は、経理として長く活躍できます。 - コミュニケーションを厭わない人
黙々と作業するイメージが強いですが、実際には他部署への確認依頼や、経営陣への報告、税理士との折衝など、コミュニケーションの場面は多々あります。相手の立場を理解し、円滑な連携ができる人は、組織の中で重宝されます。
経理に向いていないかもしれない人の4つの特徴
一方で、以下のような特徴に当てはまる方は、経理の仕事にストレスを感じてしまうかもしれません。
- 大雑把で、細かいことを気にしたくない人
1円のズレも許されない世界であるため、「だいたい合っていればOK」という考え方だと、非常に苦労する可能性があります。 - 毎日同じ作業の繰り返し(ルーティンワーク)が苦手な人
特にキャリアの初期は、日々の伝票処理など定型的な業務が多くなります。常に新しい刺激や変化を求めるタイプの方には、退屈に感じられるかもしれません。 - 勉強したり、新しい知識をインプットしたりするのが嫌いな人
法改正への対応など、継続的な学習が必須の職種です。学び続けることに苦痛を感じる場合は、厳しいかもしれません。 - 締め切りやプレッシャーに極端に弱い人
月次・年次決算など、経理には絶対に遅らせることのできない「締め切り」が存在します。タイトなスケジュールと、ミスが許されないプレッシャーに押しつぶされてしまう可能性があります。
よくある質問
