【法務部は狭き門】と諦める前に。未経験からでも逆転できる転職戦略とは? - 管理のミカタ

【法務部は狭き門】と諦める前に。未経験からでも逆転できる転職戦略とは?

【法務部は狭き門】と諦める前に。未経験からでも逆転できる転職戦略とは?
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専門性を身につけて、企業の根幹を支える法務の仕事。そのプロフェッショナルな姿に憧れて求人を探してみたものの、「実務経験者のみ」という文字の壁にぶつかり、「やっぱり未経験の自分には無理なのかも…」と肩を落としていませんか。

実際に、多くの転職希望者から「法務部は狭き門で、どうすればなれるのか分からない」というご相談を受けます。

確かに、法務部への道は簡単なものではありません。しかし、その「狭き門」といわれる理由を正しく理解し、ご自身の状況に合わせた戦略を立てれば、未経験からでもその扉を開くことは十分に可能です。

この記事では、これまで多くのキャリア支援をしてきた経験に基づき、
* 法務部への転職がなぜ難しいのか、そのリアルな理由
* 企業が未経験者を「ポテンシャル採用」する本当の狙い
* 未経験から「狭き門」を突破するための具体的な3つの戦略

を、分かりやすく解説していきます。

「私にはアピールできる経験がない」と諦めてしまう前に、この記事で、あなたの中に眠る可能性と、法務キャリアへの第一歩を見つけてみませんか。

法務部はなぜ「狭き門」?経験者が語る3つのリアルな理由

「専門性を身につけて、会社を支える仕事がしたい」そう思って法務の仕事に興味を持ったものの、いざ求人を探してみると「実務経験者のみ」という条件ばかりで、がっかりした経験はありませんか。法務部が狭き門といわれるのには、いくつかの明確な理由があります。しかし、その理由を正しく理解することが、突破口を見つけるための第一歩になります。

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法務の仕事って、どうしてこんなに求人が少ないんだろう…

ここでは、多くの転職者様を見てきた経験から、法務部への転職がなぜ難しいのか、そのリアルな理由を3つのポイントに絞って解説していきます。

理由1:1社に数名が基本?そもそも少ない採用枠

法務部が狭き門といわれる最も大きな理由は、そもそも企業の採用枠が非常に少ない点にあります。

例えば、営業職や企画職のように事業の成長に合わせて人数を増やしていく部署とは異なり、法務部は企業の規模が大きくなっても、数名の少数精鋭で運営されているケースがほとんどです。そのため、欠員が出た場合や、上場準備、海外展開といった特別なタイミングでしか募集がかからず、求人が市場に出てくること自体が稀なのです。

私の経験上、管理部門全体の求人の中でも、法務職の募集は特に限られています。その少ない枠に経験者が応募してくるため、未経験から挑戦しようとすると、どうしても「狭き門」に見えてしまうのが実情です。

企業の根幹を支える重要な部署だからこそ、採用は非常に慎重に行われる傾向にあります
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理由2:法律知識だけではNG?企業が求める専門性

「法学部出身だから、法律の知識には自信がある」という方もいるかもしれません。しかし、企業法務の現場では、単に法律を知っているだけでは通用しないビジネスと法律を結びつける専門性が求められます。

法務の役割は、事業部門から上がってきた相談に対して「法律的にOKかNGか」を判断するだけではありません。もし法的なリスクがあるのなら、「どうすればそのリスクを回避して事業を実現できるか」という代替案を提示し、ビジネスを前に進めることこそが本当の価値なのです。

企業が法務に求める専門スキル 具体的な業務内容
契約書作成・審査能力 事業内容を深く理解し、将来起こりうるリスクを想定して契約内容に落とし込む力
リーガルリサーチ能力 最新の法令や判例を調査し、自社のビジネスに与える影響を的確に分析する力
コミュニケーション・調整能力 法的な専門知識がない他部署のメンバーにも、内容を分かりやすく説明し、円滑に交渉を進める力

このように、法律知識を土台としながらも、それをいかにビジネスの現場で実践できるかという点が、採用において厳しく見られるポイントです。

法務に向いている人の特徴とは?未経験・ロー生が法務職で活躍するポイント

理由3:経験者との競争に…「即戦力」重視の採用市場

少ない採用枠に対して、実務経験が豊富な「即戦力」の人材がライバルになることも、法務部が狭き門となる大きな要因です。

企業側の視点に立つと、専門性の高い法務部門では、教育に時間をかけるよりも、入社後すぐに活躍してくれる人材を採用したいと考えるのが自然です。特に東海地区では法務経験者の母数自体が少ないため、一つの求人に弁護士資格の保有者や、他社で数々の実績を積んできた経験者が集まりやすい傾向にあります。

「契約審査を年間数百件担当」「M&Aの法務DD(デューデリジェンス)を主導した経験」といった具体的な実績を持つライバルたちと同じ土俵で戦わなければならないため、未経験者にとっては非常に厳しい競争環境といえるでしょう。

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やっぱり、未経験から法務部への転職なんて無理なのかな…
諦めるのはまだ早いですよ!実は、企業が未経験者を「ポテンシャル採用」するケースもちゃんとあるんです。次の章で詳しくお話ししますね
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それでも道はある!企業が未経験者を「ポテンシャル採用」する背景

法務部への道が「狭き門」である理由を知り、少し不安になってしまったかもしれません。しかし、諦めるのはまだ早いです。実は、多くの企業が実務経験者だけでなく、未経験者の中に「将来の可能性」を見出し、採用するケースも少なくありません。

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でも、経験者の方が有利なのは変わらないんじゃ…?

なぜ企業は、あえて未経験者を採用するのでしょうか。そこには、企業の「ホンネ」と戦略が隠されています。

企業のホンネ:実は「将来の法務エース候補」を探している

企業が未経験者採用に踏み切る背景には、長期的な視点で自社にマッチした法務人材を育てたいという切実な思いがあります。

特に専門人材が豊富な都心部と比べ、東海地区などでは法務経験者の母数自体が限られています。そのため、経験者採用にこだわると、採用の難易度が上がったり、年収面でミスマッチが起きたりすることも少なくありません。

そこで企業は、法律の素養がある若手人材を採用し、自社の文化や事業内容を深く理解した「将来の法務エース」として育成する、という選択肢を考えるのです。これは、まっさらな状態から自社のやり方を吸収してもらえる「ポテンシャルの高さ」と、「採用コストを抑えられる」という両面から、企業にとって非常に合理的な戦略といえます。

「経験がない」ことは、見方を変えれば「伸びしろ」や「自社のカラーに染まれる」という大きな魅力になるんです
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【事例】司法試験の学習経験を武器に。20代・未経験から大手メーカー法務部へ

実際に、未経験から法務部への転職を成功させた方の事例をご紹介します。私がご支援したAさんは、20代後半で就職経験のない大学院生でした。

彼は司法試験合格を目指していましたが、論文式試験で惜しくも不合格となり、企業法務へのキャリアチェンジを決意されました。しかし、就職活動は初めて。履歴書の書き方から分からず、まさに手探りの状態からのスタートでした。

そこで私が行ったのは、単なる求人紹介ではありません。彼の司法試験に向けた膨大な学習経験の中に眠る強みを言語化し、企業に響くアピール方法を一緒に考えることでした。その結果、実務経験はないものの、それを補って余りある法律知識と論理的思考力が評価され、見事、大手製造業の法務部への内定を勝ち取ることができたのです。

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司法試験の勉強経験も、立派なアピールポイントになるんだ!

あなたの経験も強みに?ポテンシャルが光る3つのポイント

Aさんのように、あなた自身のこれまでの経験の中にも、法務としてのポテンシャルを示す強みがきっと隠されています。実務経験がないからと諦める前に、ご自身の経歴を棚卸ししてみましょう。

特に、企業が「おっ」と注目する可能性の高い経験は以下の通りです。

ポテンシャルが光る経験・スキル 企業が評価するポイント
法学部・法科大学院での学習経験 法律の基礎知識があり、入社後の成長スピードが速いことへの期待
司法試験などの法律系資格の受験経験 目標達成への粘り強さ、高い学習意欲、論理的な思考能力の証明
総務などでの契約書関連の業務経験 契約書への抵抗感がなく、実務への順応性が高いことへの期待

一見すると法務とは直接関係ないように思える経験でも、見せ方や伝え方次第で、採用担当者の心に響く強力なアピール材料に変わる可能性があります。

【例文】法務の志望動機の書き方|失敗例と正しい書き方

未経験から「狭き門」の法務部へ!転職を成功させる3つの戦略

法務部が「狭き門」であることは事実ですが、それは決して「閉ざされた門」ではありません。未経験からでも、正しい戦略を持って臨めば、その扉を開くことは十分に可能です。大切なのは、やみくもに行動するのではなく、計画的に準備を進めることです。

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私にもできるかな…具体的に何をすればいいんだろう?

ここからは、未経験という立場を乗り越え、法務部への転職を成功させるための具体的な3つの戦略についてお話しします。

戦略1:「アピール材料がない」は思い込み!経験を強みに変える方法

「私には法務でアピールできるような経験なんて何もない…」そう思っていませんか。実は、それは大きな思い込みかもしれません。法務と全く関係ないように思える仕事の経験でも、見方を変えれば法務の仕事に通じる強みとしてアピールできるのです。

企業が見ているのは、経験の有無だけではありません。むしろ、どんな仕事にも応用できる「ポータブルスキル」こそ、あなたのポテンシャルを測る重要な指標になります。例えば、営業事務として培った正確な書類作成能力や、他部署との円滑な調整力は、法務の仕事でも大いに役立ちます。

あなたの現在の経験 法務で活かせる強みへの変換例
営業事務・一般事務 契約書や請求書の管理経験は、書類の正確性や管理能力の高さをアピールできます
販売・接客 クレーム対応の経験は、相手の主張を冷静に聞き、論理的に説明する交渉力として評価されます
企画・マーケティング 景品表示法などを意識した経験は、事業活動におけるコンプライアンス意識の高さの証明になります

大切なのは、これまでの経験を丁寧に棚卸しし、その一つ一つの業務が法務の仕事のどの部分に繋がりそうかを考えてみることです。

戦略2:「狭き門」への挑戦権を得る!熱意が伝わるおすすめ資格

未経験者にとって、資格は法務への熱意と学習意欲を客観的に示すための強力な武器になります。実務経験がない分、「自ら学ぶ姿勢がある」ことを形で示すことで、採用担当者に「入社後も成長してくれそうだ」というポジティブな印象を与えることができます。

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たくさん資格があるけど、どれを取るのが効果的なんだろう?

もちろん、ただ資格を取れば良いというわけではありません。法務の実務に直結し、企業側にも認知されている資格を選ぶことが重要です。

未経験者におすすめの資格 アピールできるポイント
ビジネス実務法務検定試験®(2級以上) 企業法務の幅広い基礎知識を証明できる、最もポピュラーで実用的な資格です
個人情報保護士 個人情報保護への高い意識を示せ、IT業界をはじめ、あらゆる企業でニーズがあります
知的財産管理技能検定 メーカーやIT、エンタメ業界など、知的財産が重要なビジネスで特に有効です
まずは「ビジネス実務法務検定試験®」の2級を目指すのが、難易度と実用性のバランスが良く、現実的な目標としておすすめです
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資格はあくまで法務部という「狭き門」への挑戦権を得るための手段です。資格取得と並行して、なぜ法務の仕事がしたいのか、ご自身の言葉で語れるように準備しておくことが何よりも大切です。

ビジネス実務法務検定は意味ない?判断基準・実務活用・転職のリアル

法務部に資格なしで転職する方法|未経験者が知るべき必要スキルと成功事例

法務資格の種類・難易度・選び方を徹底解説【キャリアアップに役立つ資格とは?】

戦略3:一人で悩まないで。法務転職のプロを味方につける方法

法務部への転職は、情報戦の側面も持ち合わせています。一人で悩みながら手探りで進めるよりも、法務分野に精通した転職エージェントを味方につけることが、成功への一番の近道かもしれません。

私たちのような専門エージェントは、一般には公開されていない「非公開求人」を多数保有しています。また、長年にわたって企業の採用担当者と直接やり取りをしているため、求人票だけでは決して分からない「企業が本当に求めている人物像」や「部署の雰囲気」といったリアルな情報をお伝えすることができます。

職務経歴書の添削や面接対策はもちろんのこと、「あなたのその経験は、あの会社の法務部でこんな風に活かせますよ」といった、プロの視点からのアドバイスで、あなたの魅力を最大限に引き出すお手伝いが可能です。

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エージェントって敷居が高そうだけど、相談だけでも大丈夫なのかな…
もちろんです。良いエージェントは、あなたのキャリアの「パートナー」です。転職を無理強いするのではなく、まずはあなたの悩みや希望をじっくり聞き、一緒に最適な道を探してくれます
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法務部への道は決して平坦ではありませんが、正しい戦略と頼れるパートナーがいれば、必ず道は開けます。まずは一歩、踏み出してみませんか。

よくある質問

法務部の仕事はきついですか?

「きつい」の捉え方によりますが、会社の法的リスクを管理する重要な役割を担うため、責任が重く、常に緊張感が求められる仕事であることは確かです。新しい法律の知識を学び続けたり、事業部門と粘り強く交渉したりする必要もあります。しかし、その責任の重さこそが、専門家として会社に貢献できる大きなやりがいにも繋がります。論理的に物事を考え、粘り強く課題解決に取り組むことが好きな方にとっては、非常に充実感のある仕事だと言えるでしょう。
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法務の仕事内容とは?未経験・兼務でもわかる役割から契約レビュー、年収まで徹底解説

法務部の仕事がきついと感じたら読むべき記事|現場の声とキャリアのヒント

法務部が強い会社は?

一般的に、事業規模が大きく、コンプライアンス意識の高い上場企業や、グローバルに事業を展開している企業、M&Aや知的財産戦略に積極的な企業などは、法務機能が強い傾向にあります。こうした企業は法務部門に人員をしっかり配置し、教育体制が整っていることも多いため、未経験からキャリアをスタートする環境としても魅力的です。ただし、その分、採用のハードルも高くなる傾向があるため、しっかりとした準備と戦略が必要になります。
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企業の法務部の年収はいくらですか?

法務部の年収は、ご本人の経験、スキル、そして所属する企業の規模や業界によって大きく異なるため、一概に「いくら」とは断言できません。未経験で入社する場合、最初は他の総合職と変わらない水準からスタートすることが多いです。しかし、法務は専門職であり、経験を積んでスキルを高めることで、年収は着実に上がっていく傾向にあります。将来的には、経営に近い立場で活躍する専門人材として、高い報酬を得ることも十分に可能な職種です。
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法務部がエリートと呼ばれる理由は?キャリアパス・年収・転職戦略を徹底解説

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著者
後藤 大輝  
後藤 大輝  
HR事業部シニアマネージャー
株式会社クルー HR事業部 シニアマネージャー。2013年より管理部門・士業分野に特化した人材エージェントとしてキャリアをスタート。10年以上にわたり活躍し、全社MVP受賞やマネージャー職を歴任した。現在はCFO代行・IPO支援を行う株式会社クルーにてHR事業を統括している。得意とする分野は、上場準備企業を含む成長フェーズの管理部門(経理・財務、人事・総務、法務、経営企画など)のマッチングである。求職者と企業双方を自身が担当する一気通貫サポートが特長。企業の課題や募集背景も包み隠さず共有する誠実な情報提供と、量より質を重視した最適なマッチングを実践している。また、10年超で培った東海地区の知見と人脈を活かし、独自の機会提供も可能としている。
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