簿記は何級からすごい？【未経験・20代向け】転職に有利なレベルと年収、失敗しないための注意点を解説

「このままずっと今の仕事でいいのかな…」「何か専門的なスキルを身につけて、自分の市場価値を高めたい」。そう考えたとき、多くの方が「簿記」の資格に興味を持つのではないでしょうか。

しかし、いざ挑戦しようとすると、「どうせ取るなら、ちゃんと評価されるレベルじゃないと意味がないかも…」「簿記って、結局何級からが『すごい』の？」という切実な疑問が頭をよぎるものです。

10年以上にわたり、管理部門への転職を数多く支援してきたキャリアパートナーとして、その疑問に結論からお答えします。転職市場で明確に評価され、あなたのキャリアの選択肢を大きく広げるという意味で「すごい」のは、「日商簿記2級」です。

この記事では、なぜ簿記2級が転職の場で強力な武器になるのかを、実際の成功事例を交えながら具体的に解説します。さらに、資格取得後のキャリアパスや年収のリアル、そして「資格は取ったのに評価されない…」という失敗の落とし穴まで、プロの視点から徹底的に掘り下げていきます。

最後までお読みいただければ、あなたが目指すべきゴールが明確になるだけでなく、その「すごい資格」を「最高のキャリア」に変えるための具体的な戦略まで、きっと見えてくるはずです。

簿記は、何級から「すごい」と評価される？転職市場の結論

「キャリアアップのために何か資格を取りたい」「専門性を身につけたい」と考えたとき、多くの方が候補に挙げるのが簿記の資格ではないでしょうか。しかし、いざ勉強を始めようとすると、「簿記は何級からすごいと評価されるのだろう？」という疑問が浮かんでくるものです。

どうせ取るなら、ちゃんと「すごい」って思われるレベルを目指したいな…

転職市場という観点から、その疑問にハッキリとお答えします。結論から言うと、実務で評価され、ご自身のキャリアの選択肢を大きく広げるという意味で「すごい」と言えるのは、日商簿記2級からです。

もちろん、3級は簿記の基本的な考え方を学ぶうえで非常に重要ですし、1級は会計のプロフェッショナルとして最高峰の知識を証明するものです。しかし、多くの企業が経理や財務職の応募条件として「日商簿記2級以上」を掲げている現実があります。つまり、簿記2級は、専門職としてのキャリアをスタートさせるための「パスポート」のような役割を果たすのです。

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【成功事例に学ぶ】簿記2級が転職で有利になる本当の理由

では、なぜ簿記2級を持っていると転職で有利になるのでしょうか。それは単に「知識があるから」という理由だけではありません。実際の成功事例から、その本当の理由を探ってみましょう。

私が支援させていただいた方の中に、不動産営業から未経験で経理職への転職を成功させた28歳の男性がいらっしゃいます。彼は当初、簿記3級の知識はあったものの、なかなか書類選考を通過できずに悩んでいました。そこで一念発起し、簿記2級を取得したところ、状況は一変。東海地区の中堅サービス企業から見事、経理職としての内定を勝ち取ったのです。

未経験でも、簿記2級があればチャンスがあるんだ！

この事例の成功ポイントは、簿記2級の資格が「学習意欲の高さ」と「経理の仕組みを理解していること」の客観的な証明になった点です。企業が未経験者を採用する際には、「本当にこの人は経理の仕事についてこられるだろうか？」という不安がつきものです。簿記2級は、その不安を払拭し、「ポテンシャルに期待して採用しよう」と思わせる強力な武器となったのです。彼の場合、前職の営業で培ったコミュニケーション能力も評価され、見事なキャリアチェンジを実現しました。

【一覧比較】簿記3級・2級・1級の難易度と市場価値の違い

簿記2級が転職市場で重要であることはお分かりいただけたかと思います。では、3級や1級とは具体的に何が違うのでしょうか。ご自身がどのレベルを目指すべきかを判断するためにも、それぞれの特徴を比較してみましょう。

こうして見ると、2級が一番実用的でコストパフォーマンスが高いと言えますね。

表からも分かる通り、3級はあくまで基礎固め、1級は非常に専門的で取得も困難です。その中間にある2級は、実務で求められる知識を網羅しつつ、努力次第で十分に合格が狙える最も実用的なレベルと言えるでしょう。だからこそ、キャリアチェンジを目指す多くの方にとって、最初のゴールとなるのです。

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【企業タイプ別】簿記2級で目指せるキャリアと年収のリアル

簿記2級という武器を手にした後、あなたはどのようなフィールドで活躍したいでしょうか。実は「経理職」と一括りに言っても、企業のタイプによって求められる役割や働きがいは大きく異なります。

成長フェーズの企業（上場準備企業など）
このタイプの企業では、簿記の知識に加えて「変化への適応力」や「会計を経営に活かす意識」が強く求められます。新しい会計システムを導入したり、監査法人とやり取りしたりと、決まった業務をこなすだけではない刺激的な環境です。会社の成長をダイレクトに感じながら、自身のスキルを高めていきたい方に向いています。

安定フェーズの企業（大手・中堅製造業など）
東海地区に多い製造業など、堅実な経営体制を持つ企業では、「正確性」や「原価管理能力」が特に重視されます。確立された業務フローに沿って、月次・年次決算や原価計算などを着実にこなすことがミッションです。安定した環境で腰を据え、じっくりと専門性を深めていきたい方におすすめです。

自分の性格に合うのはどっちだろう…？年収も気になるな。

気になる年収ですが、実務未経験からの転職の場合、初年度は前職と同等か、350万円〜450万円程度からのスタートが一般的です。しかし、これはあくまでスタートライン。経理は経験を積むことで着実に市場価値が上がる専門職です。数年間実務経験を積めば、年収500万円以上を目指すことも十分に可能です。大切なのは、ご自身の志向性に合った企業を選び、着実にキャリアを積み重ねていくことなのです。

【プロが警告】簿記資格だけで「すごい」と思われない人の落とし穴

ここまで、簿記2級が転職市場でいかに強力な武器になるかをお伝えしてきました。しかし、ここで一つ、非常に重要な注意点をお話しなければなりません。それは、「資格さえ取れば安泰」というわけではない、という現実です。

資格はあくまでスタートラインに立つための切符です。その切符を手にしながらも、残念ながら転職活動がうまくいかない方々もいらっしゃいます。彼らに共通するのは、資格取得を「ゴール」だと捉えてしまい、企業が本当に求めていることを見過ごしている点にあります。

えっ、資格を取ったのに評価されないなんてことがあるの…？

「すごい資格」を持っているはずなのに、なぜか評価されない。その背景には、一体どのような「落とし穴」が隠されているのでしょうか。

【失敗事例】なぜ簿記1級でも「実務経験の壁」にぶつかるのか

資格の価値を考える上で象徴的なのが、「簿記1級という最高峰の資格を持っていても、実務経験の壁にぶつかってしまう」というケースです。

実際に、自己啓発で簿記1級を取得した32歳の女性が、転職活動で苦戦した事例があります。彼女は一般事務の経験は豊富でしたが、経理としての実務経験はありませんでした。そのため、面接では「理論は素晴らしいですが、現場で実際に手は動かせますか？」「月次決算を一人で締められますか？」といった、実務に関する厳しい質問に答えることができませんでした。

企業側からすると「知識」と「実践スキル」は別物なんです。

この失敗の根本的な原因は、資格が示す「理論の深さ」と、企業が現場で求める「実務処理のスピードと幅」との間に、大きなギャップがあったことです。企業は会計ソフトの操作やExcelでの効率的なデータ処理といった、日々の業務をスムーズにこなせる即戦力を求めています。この事例は、どれだけ高度な資格を持っていても、実務への意欲やスキルが伴わなければ評価されにくい、という厳しい現実を教えてくれます。

知識だけではダメ！企業が資格以上に評価する3つのポイント

では、企業は資格という「知識の証明」の他に、どのような点を評価しているのでしょうか。長年、管理部門の採用に携わってきた経験から、企業が資格と同等、あるいはそれ以上に重視するポイントを3つご紹介します。

なるほど…資格だけじゃなくて、人としての総合力も見られているんだな。

経理は「計算する人」ではなく、「会社の数字を管理し、経営に役立てる人」です。そのため、PCスキルや他者と円滑に連携する力、そして日々の地道な業務を厭わない誠実さといった、資格では測れないヒューマンスキルが極めて重要になるのです。

あなたの市場価値は？転職前に知っておきたいITスキルと適応力

特に近年、企業が採用選考で重視する傾向が強まっているのが「ITスキルとデジタル適応力」です。経理部門のDX（デジタルトランスフォーメーション）が加速する現代において、このスキルは簿記の知識と同じくらい、あなたの市場価値を左右します。

具体的には、以下のようなスキルが求められます。

• Excelスキル：単なるデータ入力だけでなく、VLOOKUP関数やピボットテーブルを駆使して、大量のデータを効率的に集計・分析できる能力。
• クラウド会計ソフトへの適応力：freeeやマネーフォワードといった新しいツールが次々と導入される中で、抵抗なく学び、使いこなせる柔軟性。

これらのITスキルは、簿記の知識を「実践」で活かすための土台となります。簿記の知識を、これらのツール上でいかに効率よくアウトプットできるか。それが、あなたの市場価値を大きく高める鍵となるのです。

もしITスキルに自信がなければ、転職活動と並行してExcelの勉強を始めるだけでも、他の候補者と大きな差がつきますよ。

未経験から経理へ転職は可能？仕事内容・資格・志望動機まで徹底解説

よくある質問

Q：簿記1級で20代の年収はいくらですか？

A：簿記1級という資格だけで年収が一律に決まるわけではありません。最も重要なのは「実務経験との掛け合わせ」です。例えば、20代で簿記1級を取得し、かつ監査法人や事業会社での連結決算といった専門的な実務経験をお持ちであれば、年収500万円以上、場合によってはそれ以上の高いレベルを目指すことも可能です。一方で、資格はあっても関連する実務経験がない場合はポテンシャル採用となり、初年度の年収は簿記2級取得者と大きく変わらないケースもあります。

Q：簿記3級は履歴書に書いたら恥ずかしいですか？

A：いいえ、決して恥ずかしいことではありません。簿記3級は会計の基本的な仕組みを理解している証明であり、特に未経験から経理職を目指す場合は、学習意欲を示す上でプラスに評価されます。書かないよりは書いた方が間違いなく良いでしょう。ただし、多くの企業が求める応募資格は「簿記2級以上」であることが多いため、3級はあくまで「スタートライン」という認識で、2級取得を目指していることを面接などでアピールできると、より効果的です。

簿記3級の履歴書の書き方で損しない！未経験からの転職を有利にするコツと活かせる仕事

Q：簿記2級はどれくらい凄い資格ですか？

A：簿記2級は、「専門職としてのキャリアをスタートさせるためのパスポート」と言えるほど、転職市場において価値のある「すごい」資格です。多くの企業が経理・財務職の応募条件に「日商簿記2級以上」を掲げており、この資格がなければ応募すらできないケースも少なくありません。実務に直結する商業簿記・工業簿記の知識を証明できるため、未経験からでも「ポテンシャルがある」と評価され、キャリアチェンジの扉を開くための強力な武器になります。

後藤 大輝　　

HR事業部シニアマネージャー

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株式会社クルー HR事業部 シニアマネージャー。2013年より管理部門・士業分野に特化した人材エージェントとしてキャリアをスタート。10年以上にわたり活躍し、全社MVP受賞やマネージャー職を歴任した。現在はCFO代行・IPO支援を行う株式会社クルーにてHR事業を統括している。得意とする分野は、上場準備企業を含む成長フェーズの管理部門（経理・財務、人事・総務、法務、経営企画など）のマッチングである。求職者と企業双方を自身が担当する一気通貫サポートが特長。企業の課題や募集背景も包み隠さず共有する誠実な情報提供と、量より質を重視した最適なマッチングを実践している。また、10年超で培った東海地区の知見と人脈を活かし、独自の機会提供も可能としている。