経理の自己PR例文集|採用担当者に響く「攻めの視点」の書き方をプロが解説 - 管理のミカタ

経理の自己PR例文集|採用担当者に響く「攻めの視点」の書き方をプロが解説

経理の自己PR例文集|採用担当者に響く「攻めの視点」の書き方をプロが解説
clueCFO

転職活動の重要なステップである、自己PRの作成。

「経理の自己PRって、何をアピールすればいいんだろう?」
「『真面目さ』や『正確性』を伝えても、他の人と差別化できない気がする…」

もしあなたが今、このような悩みを抱えているなら、この記事はきっとお役に立てるはずです。

多くの経理職経験者が、日々の業務を「ミスなくこなすこと」に意識が向きがちです。もちろんそれは大前提として非常に重要ですが、その「守り」の姿勢だけをアピールしても、採用担当者の心には響きにくいのが現実です。

ライバルに差をつけ、採用担当者に「この人に会いたい」と思わせる自己PRには、ちょっとしたコツがあります。それは、あなたの経験を「守り」から「攻め」の視点へと転換し、「事業へどう貢献できるか」を明確に示すことです。

この記事では、管理部門専門の転職エージェントとしての豊富な支援経験に基づき、あなたの経理経験を「採用される自己PR」へと昇華させるための具体的なポイントを、豊富な例文とともに徹底解説します。

経験者の方はもちろん、管理職を目指す方、そして未経験から経理に挑戦したいと考えている方まで。あなたの状況に合わせた自己PR作成のヒントが、ここにあります。

さあ、あなたの価値が正しく伝わる、最強の自己PRを一緒に作り上げていきましょう。

【例文付き】経理の職務経歴書の書き方とアピールポイントを徹底解説

経理の自己PRは「守り」から「攻め」の視点が重要

経理の自己PRを作成する際、「ミスなく正確に業務をこなせます」「真面目さが強みです」といった点をアピールしようと考えていませんか。もちろん、それらは経理担当者にとって不可欠な素質です。しかし、採用担当者の視点に立つと、それらは「できて当たり前」と見なされることが多く、他の候補者との差別化には繋がりにくいのが実情です。

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「正確性」だけだと、アピールとして弱いのかな…?
はい。特に成長意欲の高い企業は、経理部門に「守り」だけでなく、事業成長に貢献する「攻め」の役割を期待しています。
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これまでの業務経験を単なる「作業リスト」として挙げるのではなく、その経験を通じて「会社にどのような利益をもたらしたのか」「どのように課題を解決してきたのか」という、事業への貢献意識をアピールすることが、あなたの市場価値を飛躍的に高める鍵となります。

「課題解決の実績」を具体的な数字でアピールする

自己PRに説得力を持たせる最も効果的な方法の一つが、実績を具体的な数字で示すことです。「業務を効率化しました」という抽象的な表現では、採用担当者はあなたの貢献度を正しく評価できません。

例えば、「請求書発行プロセスを見直し、月間の残業時間を10時間削減した」「新しい経費精算システムを導入し、承認までのリードタイムを3日から1日に短縮した」というように、具体的な数字を盛り込むことで、あなたの実績は一気にリアリティを増します。

改善前(よくある表現) 改善後(数字を用いた表現)
経費精算業務の改善に貢献しました。 経費精算の申請マニュアルを刷新し、月20件発生していた差し戻しを0件に削減しました。
売掛金の管理を徹底しました。 滞留していた売掛金リストを整理し、3ヶ月で回収率を15%向上させました。
決算業務の早期化に貢献しました。 月次決算のプロセスを見直し、締め日を2営業日早めることに成功しました。

このように、課題に対して自身がどのように取り組み、どのような成果を出したのかをセットで伝えることで、「この人は自社でも同じように課題を解決し、貢献してくれそうだ」という期待感を抱かせることができます。

「組織規模」と「関わり方」を明記し、業務の解像度を上げる

採用担当者が職務経歴書や自己PRを見る際、最も知りたいことの一つが「その業務をどの程度のレベルで任されていたのか」という点です。

例えば一言に「決算業務を担当」と言っても、その内実は様々です。

  • 上場企業の経理部(30名体制)で、現預金の一部だけを担当していたのか
  • ベンチャー企業(3名体制)で、メイン担当として実務から税理士対応まで完結していたのか

この前提条件が抜けていると、面接官はあなたのスキルレベルを具体的にイメージできず、「本当に自社で通用するのか?」と不安を抱いてしまいます。

「何をしたか」だけでなく、「どんな環境で、どこまで自分が主体的にやったか」を書くことで、採用担当者は入社後のあなたを具体的にイメージできるようになります。
回答者のイラスト

自己PR内では、以下の要素を意識して盛り込むようにしましょう。

要素 伝えるべきポイント
組織規模・体制 経理部門の人数、会社の従業員数、売上規模など。
(例:従業員100名、経理3名体制のチームで…)
関わり方(範囲) メイン担当(完結・承認)か、サブ担当(一部・補助)か。
(例:主担当として月次決算を締め、CFOへの報告まで担当…)
対象範囲 親会社単体のみか、子会社含めた連結かなど。
(例:子会社3社の月次決算を含む連結処理を担当…)

このように「解像度」を上げて伝えることで、ミスマッチを防ぐとともに、あなたの実力が正当に評価されやすくなります。

入社後の活躍をイメージさせる「再現性」を伝える

採用担当者は、自己PRを通じて「この候補者が入社したら、自社でどのように活躍してくれるか」を見ています。そこで重要になるのが、あなたのスキルや経験の「再現性」をアピールすることです。

再現性とは、過去の成功体験を別の環境でも活かせる能力のこと。単に「〇〇をしました」という実績を伝えるだけでなく、「〇〇という課題に対し、△△という考えに基づき、××というアプローチで解決しました」というように、あなたの思考プロセスや課題解決への姿勢をセットで語ることが重要です。

「何をしたか」だけでなく「なぜ、どのようにしたか」まで伝えることで、あなたの強みがより深く伝わります。
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例えば、「営業部門の経費データを分析・改善することで、プロジェクトごとの正確な損益把握を可能にし、赤字受注の削減に貢献した」というエピソードを伝えれば、単なる経理の業務効率化に留まらず、事業全体の利益向上に貢献できる人材であることを印象付けられます。その考え方や行動は、転職先の企業でも必ず活かせるはずです。

企業の成長フェーズに合わせた自己PRを意識する

最後に、あなたの自己PRをより魅力的にするためには、応募先企業がどのような状況にあるのか、つまり企業の成長フェーズを意識することが欠かせません。企業がIPOを目指す成長期にあるのか、あるいは安定した経営基盤を持つ成熟期にあるのかによって、経理部門に求められる役割やスキルは大きく異なります。

企業のフェーズ 求められる役割・スキルの例
成長期・IPO準備企業 ・業務フローの構築・整備
内部統制の構築
・資金調達関連業務
成熟期・上場企業 ・業務の標準化・効率化
連結決算、開示業務
・M&A、組織再編

自身の経験の中から、応募先企業のフェーズに合致したスキルや実績を重点的にアピールすることで、「当社のことをよく理解してくれている」「即戦力として活躍してくれそうだ」という高い評価に繋がります。企業のホームページや採用情報などを読み込み、その企業が今、どのような人材を求めているのかを的確に捉えた上で、あなたの経理自己PRを作成しましょう。

経理の志望動機はこれで完璧!「なぜこの会社?」の答え方

【状況別】経理の自己PR例文集

ここからは、具体的な状況に合わせた経理の自己PR例文をご紹介します。これまでのポイントを踏まえ、ご自身の経験や強みを棚卸ししながら、あなただけの自己PRを作成するためのヒントにしてください。あくまで例文ですので、ご自身の言葉で、エピソードを交えながら語ることが何よりも大切です。

【経験者向け】業務改善を「事業への貢献」に結びつける自己PR例文

経理としての実務経験をお持ちの方は、その経験が「事業全体にどのようなプラスの影響を与えたのか」という視点で語ることが、他の候補者との差別化に繋がります。単なる業務改善ではなく、それが会社の利益にどう貢献したのかを明確に示しましょう。

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ただ業務を効率化しただけじゃ、アピールとしては弱いのかな?
その通りです。「誰のために、何のために」その改善を行ったのか、という視点を加えるだけで、自己PRの深みが全く変わってきますよ。
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【自己PR例文】
現職では、月次・年次決算を中心に5年間経理業務全般を担当してまいりました。
特に注力したのは、事業部門と連携した経費データの改善です。以前はプロジェクトごとの損益が正確に把握できておらず、営業部門が感覚的に受注判断を行っているという課題がありました。そこで、各部門と連携して経費の入力ルールを標準化し、私が主体となって管理会計ツールを導入した結果、リアルタイムでの損益把握が可能となりました。これにより、営業部門の利益体質の強化に貢献し、赤字受注を前年比で10%削減することに成功しました。
この経験で培った「事業に貢献する経理」という視点を活かし、貴社の更なる成長に貢献したいと考えております。

【経験者向け】マネジメント経験を伝える自己PR例文

管理職やリーダー候補として応募する場合、個人のスキルに加えて、チーム全体をまとめ、成果を最大化するマネジメント能力が求められます。メンバーの育成や業務フローの構築など、チームとしてどのように会社の成長に貢献したのかをアピールしましょう。

【自己PR例文】
経理部門のマネージャーとして、3名のメンバーの育成と業務全体の管理に携わってまいりました。
私が着任した当初、属人化していた業務が多く、決算作業に時間がかかるという課題がありました。そこで、各メンバーへのヒアリングを通じて業務を可視化・標準化し、チーム全体の生産性を30%向上させることに成功。結果として、月次決算を従来の5営業日から3営業日に短縮することができました。
また、予実管理の精度を高め、定期的に経営層へレポーティングを行うことで、迅速な経営判断をサポートしてまいりました。これらの経験を活かし、貴社の管理部門強化と事業成長に貢献できると確信しております。
個人の実績だけでなく、チームとしてどのような成果を出したのか、そしてその中で自分がどう貢献したのかを明確に伝えることが重要です。
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【Check】自分の市場価値を正しく把握できていますか?

自己PRを作成する前に、管理部門専門のエージェントに相談して「客観的な強み」を整理するのも一つの近道です。

【未経験者向け】関連経験を「ポテンシャル」に変える経理自己PR例文

経理が未経験であっても、これまでの経験を違う角度から捉え直し、経理業務に活かせる「ポテンシャル」としてアピールすることは十分に可能です。特に成長意欲の高い企業は、まっさらな状態から自社のやり方を吸収し、主体的に行動できる人材を求めています。

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未経験でも、伝え方次第でアピールできるんだ!
【自己PR例文】
経理としての実務経験はありませんが、現職の営業事務として5年間、売掛金の管理や契約書と請求書の照合作業を担当してまいりました。数字を扱う正確性や、会社の収益・債権管理を支える責任感を培うことができました。
特に、営業担当者と密に連携し、請求に関するミスを未然に防ぐためのダブルチェック体制を自主的に提案・構築した経験は、部門間のハブとして機能する経理業務にも必ず活かせると考えております。
現在、日商簿記2級の取得に向けて勉強中であり、一日でも早く専門知識を吸収し、貴社の戦力になりたいという強い意欲があります。未経験だからこその素直な視点を持ち、業務改善にも積極的に貢献していきたいです。

経理未経験はしんどい?これから経理に挑む方へのアドバイス

経理の自己PRに関するよくある質問

Q. 自己PRでダメな例は?

「月次決算ができます」「ミスなく正確に作業できます」といった、業務内容の羅列や、経理として当たり前とされるスキルのアピールに終始してしまうのは避けるべきです。採用担当者から見ると、多くの候補者と同じで印象に残りません。大切なのは、その業務を通じて「会社にどう貢献したか」という「攻め」の視点です。「〇〇を改善し、△△という成果を出した」というように、具体的なエピソードを交えて課題解決能力を示すことが重要になります。
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Q. 経理マンが一人前になるまで何年かかる?

一概に「何年」とは言えません。なぜなら、単なる経験年数よりも「どのような意識で業務に取り組んできたか」が重要だからです。3年で事業貢献を意識できる人もいれば、10年経っても定型業務をこなすだけの人もいます。「一人前」の定義を「会社の課題を自分事として捉え、経理の立場から解決策を考え、実行できる人材」とするならば、年数に関わらず、その視点を持った瞬間から一人前への道が始まると言えるでしょう。
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Q. 経理職の自己評価の例文は?

自己評価でも、自己PRと考え方は同じです。具体的な成果を数字で示すことを意識してみてください。
【自己評価 例文】「今期は、経費精算システムの形骸化という課題に対し、申請マニュアルの刷新と社内説明会を実施しました。結果として、これまで月平均15件発生していた差し戻し件数を1件にまで削減し、経理部門と他部門双方の工数を月間約20時間削減することに貢献しました。」
このように、「課題→行動→結果(数字)」の順で構成すると、自身の貢献度が客観的かつ明確に伝わります。
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著者
後藤 大輝  
後藤 大輝  
HR事業部シニアマネージャー
株式会社クルー HR事業部 シニアマネージャー。2013年より管理部門・士業分野に特化した人材エージェントとしてキャリアをスタート。10年以上にわたり活躍し、全社MVP受賞やマネージャー職を歴任した。現在はCFO代行・IPO支援を行う株式会社クルーにてHR事業を統括している。得意とする分野は、上場準備企業を含む成長フェーズの管理部門(経理・財務、人事・総務、法務、経営企画など)のマッチングである。求職者と企業双方を自身が担当する一気通貫サポートが特長。企業の課題や募集背景も包み隠さず共有する誠実な情報提供と、量より質を重視した最適なマッチングを実践している。また、10年超で培った東海地区の知見と人脈を活かし、独自の機会提供も可能としている。
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