【例文つき】”人事職への転職”志望動機で好印象を与えよう!|未経験・異業種からでも伝わるコツ

人事への転職で求められる役割と今後のトレンド

人事総務とHR部門の違いとは
近年、人事職の中でも業務の細分化が進み、企業によっては従来の「人事総務部」として一括りにされていた業務が、「HR部門(人材開発・戦略人事)」と「総務・労務部門」に明確に分かれる傾向が強まっています。
かつての「人事総務」は、採用・労務・規定管理・備品管理などをすべて担う広範な役割でした。しかし、最近では企業規模や業界を問わず、戦略人事や人材開発を担う部署が独立するケースが増加しています。特に、制度設計や人事戦略を扱うHR部門では、高度な分析力・企画力・経営視点が求められます。
区分 | 主な業務内容 |
---|---|
人事総務部門 | 労務管理、備品管理、給与計算、勤怠管理、庶務など |
HR部門(人材開発) | 採用、教育・研修、評価制度設計、人事制度企画など |
共通の業務 | 社内調整、法令対応、人事に関する全体方針策定 |

採用手法の変化とSNS活用の重要性
人事業務の中でも、採用領域はとりわけ大きな変化を遂げています。従来の求人媒体・エージェント活用に加え、SNSを活用した採用が急増しています。
特に若年層やミドル層を対象とした採用活動では、Instagram、X(旧Twitter)、YouTube、LinkedInなどの活用が主流になりつつあり、採用広報とダイレクトリクルーティングを融合させた手法がトレンドです。
経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の調査(2023年)でも、企業のうち約46%が「SNSによる採用活動に注力している」と回答しており、SNSスキルは人事職における新たな強みと位置づけられています。

これからの人事職に求められる視点
現代の人事職に求められるのは、単なる「業務処理者」ではなく、組織成長のための戦略的パートナーとしての視点です。
以下のような力が、今後の人事転職で重視されるキーポイントです。
- 社内外の関係者と信頼関係を築く高いコミュニケーション能力
- 事業計画と連動した採用・教育・制度企画の実行力
- 目標から逆算して動ける能動性と論理的思考力
また、管理部門に特化した転職支援を行ってきた我々の支援実績から見ても、採用・労務を経験したうえで制度設計へキャリアアップしていく人材が、企業から高く評価されています。

人事職に転職したい人が意識すべき志望動機の基本

志望動機に含めるべき3つの要素
人事職への転職を成功させるための志望動機には、以下の3要素が含まれている必要があります。
- なぜ人事職を志望するのか(職種への動機)
- なぜその企業を選んだのか(企業への共感や価値観)
- 入社後にどう貢献したいか(キャリアビジョン・貢献意欲)
これらが明確に記載されていることで、応募者の本気度や論理的思考、将来性を伝えることができます。採用担当者は「この人がなぜうちを選び、何を実現したいのか」を見ているのです。
要素 | 記載するポイント |
---|---|
職種への動機 | 人事に関心を持ったきっかけ、経験とのつながり |
企業選定理由 | 理念・文化・事業内容への共感 |
将来の貢献 | 自分の強みをどう活かせるか、入社後の展望 |

転職理由と人事職への意欲を結びつける
志望動機を書く上で注意すべきなのが、「転職理由」と「人事職への意欲」がバラバラになっていないか、という点です。
たとえば、
- 営業として培ったコミュニケーション力や課題解決力を、採用や育成業務で活かしたい
- 前職で感じた「人材のミスマッチ」への問題意識から、採用に関わりたいと考えた
このように、これまでの経験や転職動機が「なぜ人事職を選んだのか」に自然につながっていると、応募者のストーリーに一貫性が生まれます。
一方で「残業が多くて大変だったから」などのネガティブな理由だけを書くと、印象が大きく下がるため注意が必要です。

人事職で実現したいビジョンを示す
最後に、採用担当者が特に注目しているのが「入社後にどう活躍したいか」「長期的にどんな貢献ができるか」といったビジョンです。
以下のような表現が効果的です。
- 「採用から教育、制度設計まで一貫して関われる人材を目指したい」
- 「経営と現場をつなぐ戦略人事として、組織づくりに貢献したい」
将来像を描ける人は、自走力・成長意欲のある人材として評価されます。また、企業の方向性と一致したビジョンを伝えることで、マッチ度の高さを印象づけることができます。

人事職の仕事内容と必要なスキル

採用・労務・制度設計の業務内容とは
人事職は単に採用活動を行うだけではなく、従業員が安心して働き、会社が成長するための環境を整える仕事です。主な業務は以下の3つに分かれます。
業務区分 | 主な仕事内容 |
---|---|
採用業務 | 求人作成、面接対応、内定フォロー、採用広報など |
労務業務 | 勤怠管理、給与計算、社会保険対応、就業規則の整備 |
制度設計業務 | 人事評価制度、等級制度、教育・研修制度の企画・運用 |
このように人事職は「採用担当」だけではなく、従業員のライフサイクル全体に関わる幅広い専門職です。

人事職に求められるスキル・マインドセット
人事職では、知識や経験と同じくらい「スタンス」や「人柄」も重視されます。特に転職市場で高く評価されるのは以下のようなスキルとマインドです。
- コミュニケーション能力:部門間調整や候補者対応で不可欠
- 守秘義務の遵守:個人情報や経営情報を扱うための慎重さ
- 状況対応力・冷静な判断力:トラブル対応や労務管理で必要
- データ活用力:採用分析・制度設計などで数字に強いことが強みになる
また、業務効率化の観点からは、基本的なPCスキル(Excel、Word、スプレッドシート)も評価されるポイントです。

理想的なキャリアパスの描き方
人事職で長期的に活躍するには、「現場の理解」から「企画力」へのステップアップが理想です。
まずは採用・労務といった実務経験を通して現場感覚を養い、その後は人事制度の企画や人材開発など、より戦略的な役割へとスキルアップする流れが王道とされています。
ステージ | キャリア内容 |
---|---|
初期(1〜3年) | 採用・労務などの実務を担当し、組織の仕組みを理解 |
中期(3〜7年) | 評価制度や教育制度の運用、現場と経営の橋渡し役に |
上級(8年〜) | 戦略人事や人材開発、経営直結の人事企画を担う |
このような成長ステップを描けることが、志望動機や面接での説得力につながります。

人事転職の志望動機を魅力的にする書き方と構成

人事経験の有無で変わる書き方のポイント
人事職への志望動機は、「人事経験の有無」によって書き方のアプローチが大きく変わります。自分の立場を正しく整理したうえで、アピールの仕方を変える必要があります。
立場 | アピールのポイント |
---|---|
人事経験者 | 過去の成果や業務内容を具体的に伝える(採用人数、制度企画実績など) |
人事未経験者 | これまでの職務経験を「人事と共通する要素」で結びつける |
未経験者の場合は、「部下の育成経験」「クライアント対応で培った対人力」など、人事と親和性の高いスキルを選んで志望動機に落とし込みましょう。

一貫性を持たせるためのステップ構成
魅力的な志望動機を作るには、「過去→現在→未来」の流れに沿った一貫性のあるストーリーが不可欠です。
以下のステップを意識して構成すると、採用担当者に納得感を持って読んでもらえます。
- 過去:きっかけ・関心を持った理由(経験や問題意識など)
- 現在:人事を目指す理由(転職を決意した背景と動機)
- 未来:入社後のビジョン(会社にどのように貢献したいか)
このステップを外すと、伝えたいことが散漫になりやすく、印象に残りません。

採用担当者に響く具体的な表現例
ありきたりな志望動機では採用担当者の記憶には残りません。「なぜ」「どのように」「どう活かせるか」を丁寧に伝えることで、具体性とリアリティが増します。
以下は、表現を工夫した志望動機の例です。
- 「営業職として培った傾聴力と提案力を活かし、求職者と企業の最適なマッチングを実現したい」
- 「前職では新入社員のOJTに注力し、育成の手ごたえを感じたことが人事職を志すきっかけです」
- 「制度運用だけでなく、制度をつくる立場として、働きがいのある環境づくりに携わりたい」
ありきたりな表現や、テンプレート感が強い志望動機はマイナス評価につながりやすいため、自分だけの経験を起点にしたストーリーを意識しましょう。

【実例つき】人事職の転職志望動機テンプレート

人事経験者向けの志望動機例
すでに人事職の経験がある場合は、実績・スキル・志望企業でどう活かすかを明確に書くことが重要です。
【例文】
「これまで中途採用を中心に年間30名以上の採用業務に携わり、面接対応から入社後フォローまで一貫して行ってきました。とくに採用フローの改善を担当し、内定承諾率を約20%向上させた経験があります。貴社では新卒採用にも注力していると伺い、私の経験を活かしながら、採用戦略全体に関与していきたいと考え志望しました。」

未経験から人事職へ転職するケースの例文
人事未経験者の場合は、これまでの業務と人事業務との共通点をうまくアピールしましょう。
【例文】
「営業職として法人顧客に対する採用支援サービスの提案を行う中で、次第に自分自身も“人を採用する側”として組織づくりに関わりたいという想いが強くなりました。顧客との関係構築やニーズのヒアリングで磨いた対人スキルは、採用活動においても活かせると考えています。貴社の理念にも強く共感し、人材という側面から成長を支える仕事がしたいと思い志望しました。」

SNS活用経験を活かす志望動機の例
採用手法の多様化により、SNSを使った採用広報やダイレクトリクルーティングの経験は大きな武器になります。
【例文】
「前職では、自社採用の一環としてInstagramやXを活用した採用広報を担当しました。職場の雰囲気を伝える投稿コンテンツを企画・運用した結果、半年でフォロワー数が1,000人以上増加し、SNS経由の応募数も倍増しました。今後は、SNS活用の知見をさらに深め、採用ブランディング全体に貢献できる人事担当者を目指したいと考えています。」

営業など異職種から人事を目指す例文
異業種からの転職では、「なぜ人事に転向したいのか」「どんな強みが活かせるのか」がポイントになります。
【例文】
「営業として培ってきた提案力・傾聴力を活かし、“人と組織をつなぐ”人事職にチャレンジしたいと考えています。これまで、チームリーダーとして新人の育成に関わってきた経験があり、人の成長に深く関わるやりがいを感じてきました。貴社では、人材の成長を支える制度や環境づくりにも力を入れていると知り、私の志向性と重なると感じ志望しました。」

志望動機と合わせて伝えたい自己PRの作り方

人事で評価される性格や強みとは
人事職では、単にスキルがあるだけでなく、性格的な適性も強く求められます。以下のような要素が、採用担当者に好まれやすいポイントです。
- 誠実さ・信頼性:人の悩みや機密情報を扱う場面が多いため
- 共感力・対人感受性:面接対応や社員相談で活かされる
- 冷静な判断力:労務トラブルや制度運用で必要
- 計画力・継続力:地道な業務の積み重ねが多いため
人事職においては「人と関わるのが好き」だけでなく、“信頼される人間性”をいかに伝えるかがカギになります。

実績ベースで信頼性の高い自己PRを作る
自己PRは、「結論+実績+工夫・成果」の流れで構成することで、説得力が格段に上がります。抽象的な表現だけでなく、数字や行動を含めた説明が求められます。
【悪い例】
「人と関わることが好きで、どんな人とも信頼関係を築けます。」
【良い例】
「前職では営業職として50社以上の新規開拓を行い、3年間で継続率90%以上の信頼関係を構築しました。相手の立場に立ち、課題解決に取り組む姿勢を評価いただく機会が多く、これは人事職においても活かせると考えています。」

志望動機とのつながりを意識した表現にする
自己PRが採用担当者に響くかどうかは、志望動機との一貫性にも大きく左右されます。
たとえば「人の成長を支えたい」という志望動機を掲げている場合、その裏付けとして
- 「新人教育に携わった経験」
- 「後輩や部下への指導で得た気づき」
などの実体験を自己PRで語ると、全体としてブレのない印象になります。
志望動機と自己PRがバラバラになってしまうと、「本当は何がしたい人なのか」が伝わらなくなるため注意が必要です。
